第2章 【幼馴染】
渾身のボケだったらしい。
若干ツリ目で、切れ長の瞳の瞳孔を、千聖は眼鏡の奥で大きく開けている。
なん、こいつ。
...ちくしょっ。調子が狂う...。
だが、俺はニヤッとした。
ちょっとからかってみるか...。
「千聖..」
俺はパタリと本を閉じ、机に置いた。
ゆらりと立ち上がって、千聖に近付く。
「おっ!俺に構ってくれるのかっ!」
とにぱぁーっと笑顔を見せる千聖を近くの本棚に追いやりーーー
ドンッ!!!
「っ....っ!」
バサバサッ!と、反対側の棚から本が落ちた。
音の大きさに本気で驚き、千聖はびくっ!と肩を震わせた。
ギュッと目を瞑って。
「ははっ、可愛いな...."ちーくん"」
と、急に千聖に本棚ドンをした俺は、囁く。
幼稚園の頃、千聖の事を"ちーくん"と呼んでいた。
心臓がドキドキしている。
..俺もなんか恥ずかしいんですけどコレ..