第9章 【初恋】
ーーーというか...泪...泪も、俺のこと、結構ちょっと好きなんじゃねぇの...?
なんて、淡い期待を抱いてしまう。
「うん...大分落ち着いてきたねぇ...良かったぁっ」
更に強く、ぎゅっとされる。
「わっ!...わっ!や、やめ...!」
そして、身体をゆっくりと離される。
ーーーなんだ、もう離れんのか...
ーーーいやなんだってなんだ!俺!
ほっとしたのか、鼻水がいっぱい出てきた。
ズルッとすする。
「はい、ちーん」
ティッシュで、泪に鼻水をかまれる。
「ああいいって!」」
突拍子もなく友達の鼻水をかむ男、それが皇泪。
「いっぱい出たねぇ...」
ーーーああ、いっぱい出ちゃったさ...!
これって、"鼻血"だな、きっと...
その後も鼻水はなかなか止まらなくて、家に帰るまでずっと泪に鼻をかまれたままだった。
俺の顔は、もうすっかり真っ赤になっていた。