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愛おしい彼は、僕の...《R18》

第9章 【初恋】




「うっ、わぁあっ!!」


泪は、とっさに俺を抱きすくめる。あまりにも、素早い反応だった。


ーーー!!!


泪の腕の中で、おでこが熱くなる。


「すみません!ブレーキが壊れてしまって!!大丈夫ですか!?」


大丈夫、です、


大丈夫、です....


言え...俺....呆然としてねぇで!


「うーん、危なかったねぇっ大丈夫?」


泪の長い髪の毛の中で、俺はハッとする。
身体を離さず、俺の目を覗き込んでくる。


「あ、ああ...!俺は平気だがっ...!」


ようやく声を絞り出せた。だけど、心臓はトクトクトク、と分かりやすく脈打つ。喉が、震える。


「大丈夫だよぉ〜だってねぇっあなたも大丈夫?」


と、泪は自転車に乗っていた少年にも微笑みかける。


ーーーやっ...、そ、その前に、俺の身体離してくんねぇ...!?


「大丈夫です!ごめんなさいでした!」


と、自転車少年は、ブレーキの壊れたらしい自転車を手で押して帰ってゆく。


ーーーえっと、えぇーっと、なんでまだこいつ...!!俺の身体離さねぇの!?


「瞬くん、まだ離れないで...」


吐息がかった声に、本気で胸が締め付けられる。


「エ゛ッ!?なんでだよ!」


顔が赤くならないように、精一杯踏ん張りながら、泪の腕の中で俺はもがく。


「だって、瞬くん心臓の鼓動激しいからねぇ...僕の腕の中で落ち着くまで待ってないと...」


ーーーうわ!心臓がバクバクだったのバレてたのかよッ!!


"泪に抱きしめられているせいで、心臓がバクバクしている"なんて、言える訳が無かった。


歯を食いしばって、深呼吸をする。


「僕の呼吸に合わせてねぇ...」


すぅー...はぁー...と、泪は吸う度に唇を若干尖らせた。


「くっ...ぅっ....っ!」


嫌でも、泪を意識してしまう。どうしよう、今顔が真っ赤になってたりしたら...!


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