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愛おしい彼は、僕の...《R18》

第9章 【初恋】




「...まだ、何か...?」


さっきから、海里と呼ばれている美少年が、髪をはためかせながら振り向く。それだけで、見る人の心を奪うようだった。


「あの!お名前と連絡先教えてくれませんかッ!」


カナエの発言に、一旦俺と泪は驚く。
言われた海里、さんとやらは特に表情を変えていなかった。


「えぇ!?カナエ、な、ナンパ!?」


「イヤ違くてだな...もしかして今ので本当にあの子怪我したかもしんないじゃん...心配でさぁ」


こそっと、俺にカナエは耳打ちしてくる。
交通事故的な処理をしようとしてるらしい。


「え、ええ...でも、海里怪我どこも無いし大丈夫だよな?」


やんわりと、断りそうな雰囲気に持っていこうとしている。確か、李太と呼ばれた少年が。


「...別に俺は構いませんが」


本当に交換してくれるらしい。


「ええっ!!お前っ、このっ!う、裏切り者!」


「?どうした李太、なぜそんなに怒る...これ、俺の連絡先です...」


カナエは、連絡先を海里...さんと交換したみたいだった。QRコードで。


ーーーなんか今日は不思議な結びつきが出来たな...千聖といい、海里、さんといい...


「ええ〜じゃあ僕とも交換して欲しいなぁ...仲良くなりたいんだよねぇっ」


泪はお構いなしに、ずずいと海里、さんと距離を縮める。


「良いですよ」


ここは愛想笑いをした方が良いと判断したのか、海里、さんはニコリと微笑む。


天使の羽が一瞬見える程に美しかった。


ーーー泪以上の美人さんに、俺は初めて会ったな...


海里、さんは陶器のように透ける肌と、長い睫毛と、彫りの深い顔立ちの正真正銘の美少年。黄金比率を保っているのだろう。唇の色も、濃いピンク色で色っぽい。


あまりにも幻想的だった。別に、だからといって心が本気で動く訳では無かったが。


ちなみに俺の初恋の相手、泪も美形だ。睫毛が長いところだけは海里、さんと一緒だな...瞳が大きめで、甘いマスクで、海里、さんより女子ウケ抜群の顔をしてると思う。


ーーー俺泪の事贔屓してんのかな...?でもカナエもそう言うと思う。


「...では、これで...」


ぶつかった時みたいな、お人形さんのような硬い表情に戻り、海里、さんと李太、さんは去っていった。

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