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愛おしい彼は、僕の...《R18》

第9章 【初恋】




「瞬!瞬!...っおい!」


ハッと、俺は我に返る。


放課後の、ガランとした教室の中にいる。


目の前には、いつものメンバーのカナエと、泪と、ーーー千聖がいた。


「初恋の話題振られた瞬間、急にぼーっとしてどうした?」


カナエが椅子から身を乗り出して、俺に聞いてくる。


「あ...いや、なんでもねぇ...」


「それで?」


泪の声に、ビクゥッ!と俺は肩を震わせた。


「瞬くんの初恋の瞬間は〜?僕、興味あるんだよねぇ...」


泪は和やかに微笑み、きれいな長髪を揺らす。


ーーーお前だよ、お前...。


「あー...あんまり覚えてねえかも!俺!」


急いで泪から顔を背ける。そしたら、「こっち向いて〜瞬君〜さみしいなぁ...」と、マイペース星人、泪にもっと興味を持たれてしまった。


ーーーぐっ、やめろよ...今もちょっと、お前が好きなんだからよ...


「まじかぁ瞬!俺は初恋の女の子覚えてるけどなーっ!」


そんな俺に気付かず、カナエはでっかく笑う。


「へぇ、弟さんかな?」


泪は微笑みをたたえながらカナエに返す。


「いや...ちげぇし...なんで泪、いま昴の事を口に出したんだ....」


と言う、カナエの声も最早耳に入ってこない。


心臓が、まだドキドキいってる。


あれは中学のプール授業の後の事だった。


女子の胸が気になるとかどうとか、ふざけた話を泪にしたら何故か俺が触られる事になって...


ーーー水着姿でそのまま、胸筋とか色んなトコを、泪に触られる事に...


中学こ頃の泪は今よりも性に奔放な奴だった。俺だけじゃない、親しくなった奴全員にだ。


思わせぶりな態度を取るから、今よりも女子にモッテモテで...。


でも、そんな俺の初恋の記憶など、泪はあまり覚えてないだろう。

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