第8章 【ヌードモデル】
ーーーやっぱりか...でも、言わなきゃ隠し通せたんじゃ...
「だから、男性の裸体画なんか描きたくなかったのに...!」
一条は、小熊のようにプルプルと震えている。
「じゃあなんで、俺を雇って描く気になったんすか...」
床に膝をつけて倒れ込む一条を、冷ややかな目線で見つめる。
「...女性の裸体画描いても...売れねぇから師匠に言われたんだよ...お前は、自分の好きな男性の絵を描けとなァ...」
ーーー出会い頭に破廉恥人間連呼するようなら、それは難しい事なんじゃねぇの?
「克服しよう克服しようと思ってたら...〆切が明日に迫ってた...一ェ、だから急がなきゃなんねぇのに...ッ」
ーーーいきなり呼び捨てかよ...。
「一、嫌だろ...君をどうしてもそういう目で見てしまう俺なんかなァ...代えのヌードモデル、今から急いで探すか...」
「何も気にしませんよ、俺は。ヌードモデルやらせて下さい」
俺は男に恋した事は無かった。
でも...男から、そういう視線を向けられる事は今まで無かったから、俺、ちょっと...なんだ?珍しい気分になってる。
「....分かった...俺も時間が無ェ...」
ゆらりと、一条は立ち上がってこちらにやってきた。
そしていきなりーーー俺の服を、強引に脱がす。
「っ!!」