第8章 【ヌードモデル】
中に入っていくと、至る所にデッサン用の人形が置かれていた。インクの独特な匂いがツンときたけど、すぐに慣れる。
ーーー誰も、いねぇ...中にズカズカ入ってってもいいもんか?
遠慮がちに、「すみませーん!バイトで来た田中ですけどー」と、大声で喋ってみる。
そしたら、近くのドアがガチャッと開いた。
「遅いッ...!!!」
ーーーは?
その瞬間、中から出てきた細身の男に、腕を掴まれる。
「いッ...!?」
そのまま強引に部屋の中に引っ張られる。
ーーーなんだ...こいつ...!?集合時間の10分前だぞまだ...!!
「うぁっ!?」
自分で引っ張っておいて、よろめいた俺を支えきれなくなったらしい、そのまま後ろにパターンッ!!と、倒れる。
俺はその男に馬乗り状態になった。
「ちょっ...!ちょっ...!いきなりなんなんですかあなたっ!」
と、一応抗議してみる。
ーーーそしたら...
「やっ...やめろぉッ!俺にッ...のしかかるな破廉恥人間ッ!」
顔を真っ赤にさせて、その男は叫んだ。