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明星の意思、常闇の暁光【TOV夢】

第1章 【第1話】ニートを拾って


彼はかなりのハンサムさんでした。
先のとおり金髪碧眼、年齢は20歳いくかいかないか。
精悍な顔立ちをした青年なのだが、どこか少年のような幼さが残っている。
特筆すべきは、彼が両腕甲冑にマントをまとい、腰に剣をさしているところ。
まるで絵本にでてくる騎士の模範のような格好だ。

辺りの風景といえば、穴に落ちたはずなのに、目に付いたのは純白の大理石で出来た西洋風の遺跡。
遺跡は湖の上に一面に広がっていて、天井は無骨な岩で覆われている。
内、一部大きく開かれた穴からは、満点の星々が私たちを照らしていた。
現時点でわかるのは、ここはあの森の中ではなく、洞窟の中にある遺跡の中で、この男以外は人っ子一人見当たらないこと。

私が凝視しているのに気付いていないのか、彼は私の唇を奪っていた口元を緩め、清々しい笑顔を送り続けている。


「命を取り留めることが出来て、まずは一安心だね。
まだどこか具合の悪いところがあるなら、遠慮なく言ってくれ。
僕でできる事なら、なんとかしよう」

「私、どうにかなっていたんですか?
心なしか、身体が痺れているんですけれど」

「記憶が混濁しているのかな。
見た所、特に外傷もないし、原因はわからないけど。
僕が君を見つけたときには、ここで倒れていて、脈がなかったんだよ」

「脈? 心臓が止まってた?!」


言われて、自分の左胸を押さえると、胸元がブラジャーが見えるまで全開になっていた。
人様の前で、なんでこんなみだらな姿に?!
私が慌てて服を整えている様子を見ていた彼は、思い出したように赤面し、身を屈めてよじらせた。


「す、すまない。心臓マッサージをするために、脱がしたんだ」

「じゃあ、さっきのはキスは人工呼吸だったのか」

「そうなるね。本当にすまない」

「人命救助だったんですよね。人助けだったのなら、感謝します。
ところで、途中で私声上げたの気付いてました?」

「そうだったかな?」

「人工呼吸というより、長時間耐久ディープキスかまされてたようか気がするんですが。
お陰で蘇生通り越して、別の意味で昇天しそうになったんですよ私」

「心配することはない。昇天したら、戻ってくるまで頑張るだけさ。
大丈夫、初めてだったけれど、練習すればきっと上手くなるよ」
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