第1章 【第1話】ニートを拾って
金で出来ているのか、表面は黄金色に輝いており、周りにルビーのような赤い宝石が3つはめこまれてあった。
(ユーリが左手首にはめていたヤツだ)
本物なのだろうか。好奇心にかられて手に取り、自分の腕にはめてみる。
するとどうだろう。
急に全身が冷たくなり、激しい頭痛、虚脱感にみまわれたかと思うと、貧血を起こしたように膝がぐら付いて、その場で倒れてしまった。
何、これ、気持ち悪い……っ
我が身に降りかかった異変に驚き、急いで元凶の腕輪を外していると、風呂場のドアが開く音がした。
「おい! 、何してるんだ!!」
倒れる音を聞きつけたのか、ユーリが風呂から出てきたようだ。
「大丈夫か?!」
「ユーリ、腕輪さわってちゃって……」
濡れた手で肩を揺すられ、ゆっくりと顔を上げた。
頭でも洗っていたのか、ユーリは頭からつたう湯水をぬぐいもせず、真剣に私の様子を伺っている。
あのキレイな髪は湿って、細身ながらも逞しい背や胸、肩にへばりついていた。
腰も引き締まっており、辛うじてタオル一枚で、股間を――
「ごめ――んごあああああああっ!!」
徐々に下へ視界をスクロールしていったら、野郎的にヤヴァイものが見えそうになって、首を180度回転させた。
「おい、どうした! しっかりしろ!
顔隠してないで、何があったか話してみろよ」
「み、み、み……っ!」
「み?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
私、ユーリの大切な……っ!下がぁっ!」
「オレの、なんだ?」
「と、とにかく、後で説明するから! 私大丈夫だから! そいじゃあお風呂ごゆっくり!」
衝撃的な物体とのご対面に、私は先程の不調など吹っ飛ばして跳ね起き、ユーリから脱兎した。
すまないユーリ。
ちゃんと見えてなかったけど。いや見たくなかったけど。
責任とれっつったら、大人しく嫁に行くから殴るのだけは勘弁してくれ。
風呂場で人生最大のスペクタクルを経験し、私の中で様々な葛藤をすること、15分後。
Tシャツとハーフパンツ姿のユーリがタオルで頭を拭きながら、リビングに戻ってきた。
その表情はどこかもの思わしげだ。
「そんな顔されると私の良心がグサグサ痛みます」
「洗面所で倒れたんだろ。具合悪いのか?」