第1章 【第1話】ニートを拾って
警察を呼ぶべきとは言ったものの、そうなると身元不明怪しさ核爆発のユーリを巻き込んでしまうので、時機を見てからにした方がいいだろう。
何より、彼が来てくれて助かったのは事実だ。
「ありがとう。ユーリが来てくれなかったら、私、今頃どうにかなってたわ」
「いいよ。そもそもお前がオレを助けなきゃあ、こんな目には遭わなかっただろうしな」
「そんな……」
「改めて森を調べに行きたいところだが。
また襲われちゃあまずいし、家まで送ってってやるよ」
「さ、行くぞ」と私を促し、道を引き返すユーリ。
このまま、彼の後についていって、いいのだろうか。
彼はこのまま私を家まで送って、また別れて、自分のいた森を調べに行くのだろう。
台車返すついでに様子を見るだけだったし、これ以降、彼がどうなろうと私は関係ないはずだ。
ただの行き倒れを助けただけだもの。困っている人を助けただけだ。
彼の言うことは所々おかしいし、関わり合いにならない方がいい。
自分のキャパを越えることはしない方がいい。
………違う。
なんだか、それは違うのではないか?
「待って、ユーリ」
「うん?」
「わ、私の家に泊まってって」
「は?」
勇気を振り絞って出た一言に、ユーリは素っ頓狂な声を上げた。
く、挫けるものか……!
「強盗から助けてもらったお礼に、ね。
ほら、私一人だし、しばらくだったら衣食住面倒みれるよ」
「ありがたいけど、オレは見てのとおり男だぞ。
一つ屋根の下で、身元も知れない異性と2人きりで過ごすのは、お年頃の女の子としてどーなんだ?」
「そ、そんなの修学旅行とかで慣れてるよ」
「シュウガクリョコウ?
……とにかく、嫁入り前の娘が男と一夜過ごすなんて駄目。
オレはの親父さんに合わせる顔がない」
「多分しなくともお父さん卒倒するから、合わせる間もないと思うよ。全然平気」
「平気ちげええええっ! 余計まずいだろうが! 何サラッと不吉な事言ってんだよ!
オレの事を気にしてんのなら、それこそ余計なお世話だっ!」