• テキストサイズ

明星の意思、常闇の暁光【TOV夢】

第1章 【第1話】ニートを拾って


「で。オレの命の恩人にゲスなマネをしようってのはコイツか?」

「テ、テメェ! よくも相方を!」

「女の子一人相手に、大の野郎が二人係だったんだ。正当防衛だろ」

「んだと?!」

「んでもって、これからテメェのツラを変形するまで思う存分殴り飛ばしても、二度とスケベな考えできねえように足腰立てなくしても、の未来と街の治安を守る為なんだから、お咎め無しだよな?」


拳を鳴らしながら、淡々と尋ねるユーリたん。
日本の常識を知らないので念のために聞いているのか、脅しているのか、腹をくくれと忠告してんのか。
多分全部なんだろうが、ニット帽の男に恐怖を与えるのには十分であった。


「う、うああ……っ」

「逃げるなよ。いい大人なんだ。
報いはキッチリ受けてもらうからな」

「こうなったら……っ!」


ユーリに迫られ逆上したニット帽の男は、なんと私へと手を伸ばしてきた。
私を人質にするつもりなのだろう。
しかしそれより速く、黒い影がニット帽に迫る!


「がっ?!」


私に触れるより先に、ユーリの右ストレートが男の左頬をとらえ、えぐる。
拳の威力はもはや顔だけでは受け止めきれず、駒のように一回転して、地面にひれ伏し、ピクリとも動かなくなった。
なんつうパンチ繰り出してんだこの兄ちゃんは。
当のユーリは追撃用の拳を構えたまま、固まっていた。


「あれ? もう終わりかよ」

「……あんたが強すぎるんだよ。
つか、拳ひとつで強盗のしてしまうなんて、どんだけ」

「強盗って、お前が言ってたヤツか。
んじゃあ、まあ、この場で息の根止めとくべきかな」

「止めんなああああ! 何どっかの健康ドリンクのCM"一本行っとく?"のごとく、器用に刀から鞘飛ばして抜刀してんの!
こういう時は通報するの! 警察呼ぶの! 抹殺すんな!」

「お前、こいつらに襲われたんだろ。何で庇うんだよ」

「庇ってねーわよ。あえて庇うっていうなら、ユーリの方ね。
ここでは何があっても人を殺しちゃ犯罪だっての」

「……。がそこまで言うなら、やめといてやるよ」


私が懸命に止めると、彼は不機嫌そうに自ら飛ばした鞘を拾いに行き、刀を戻した。
嫌な方向に発言が飛んでいる兄ちゃんである。
/ 31ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp