第1章 目覚め
その日の夜、私は自分の力がどこから来たのか、何のために存在しているのかを必死に考え続けた。
しかし、どれだけ考えても答えは見つからず、疲れがどっと押し寄せてきた。
心の中で何かを掴もうとするけれど、どうしてもつかめない。
そんな思いを抱えながら、いつの間にか深い眠りに落ちていった。
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翌朝、ふわっとした感触が頬に当たる。
目を覚ますと、黒い子猫が私に寄り添って寝ていた。
「えっ…?」
完全に目を覚まし、びっくりして起き上がると、子猫も目を覚まし、ゆっくりと伸びをして、そのまま私にすり寄ってきた。
まるで安心しているかのように、ふわふわとした毛が私の腕に触れる。
「...君も1人なの?」
私は思わず口にしていた。子猫は何かを感じ取ったのか、嬉しそうに鳴いた。
「にゃーぅ」
「じゃあ、君の名前はあずき!よろしくね。」
私はそう言って、子猫を優しく撫でた。
あずき、と名付けたその子は、嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らしながら、私の手を軽く舐めてくれた。
しばらくあずきを撫でていると、遠くから「ヒツキー!」と私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
驚いて顔を上げると、洞窟の入り口近くにパイロの姿が見えた。
小さなカゴを手に持って、周りをキョロキョロと見回している。
私は急いで立ち上がり、洞窟の外へと出た。
パイロは周囲の様子をうまく捉えられずに、手探りで私を探しているようだった。
「パイロ!」
私は彼に近づき、優しく声をかけると、パイロはふっと顔を上げ、私の方を感じ取るようにして微笑んだ。
「ヒツキ…よかった、見つけた。」
「おはよう、パイロ。」
私は彼の手を取って、支えるようにして歩き始めた。
パイロは少し驚いた様子だったが、すぐに私の手を信じて歩き出した。
私も彼を支えながら、洞窟の前に腰を下ろした。