第1章 目覚め
「……いいぞ、完璧だ。」
カイトが満足そうに頷く。
「これが『纏(てん)』と言う技だ。」
「纏?」
私とパイロが同時に聞き返すと、カイトは笑いながら説明を続ける。
「ああ。簡単に言えば、オーラを体にまとって、外に漏れないようにする技だ。一定の流れで体内に巡らせることで、身体が頑丈になる。それに、若さを保つ効果もあるんだ。」
カイトがそう言いながら、自分の体をオーラで包み込む。
「オーラをまとえば、無駄にオーラを消耗せず、長時間戦うことができる。基本中の基本だな。」
確かに、カイトのオーラは静かに、そして滑らかに流れ続けている。乱れることがなく、まるで自然の一部のように見える。
「纏はマスターできたな。次のステップに行くぞ。」
カイトが腕を組みながら、次の技に進むことを宣言した。
—
私たちは1ヶ月をかけて、四大行と呼ばれる『纏』『絶』『練』の修行をした。
「絶は、オーラを完全に閉じる技だ。精孔を完全に閉じることで、オーラが外に出ない状態を作る。これによって、気配を完全に消すことができる。だが、防御力がゼロになるから、注意が必要だぞ。」
私は深く息を吸い込み、オーラを止めることを意識してみる。最初は上手くいかなかったが、何度も繰り返していくうちに、少しずつコツを掴んできた。
「なかなかやるな。」
「パイロも完璧だ。」
カイトがそう言って微笑んだ。
—
「練は、オーラを大幅に増幅させる技だ。」
カイトは拳を握りしめると、その瞬間、彼のオーラが爆発的に膨れ上がった。目の前で、カイトの周りにオーラが渦を巻いているのが見える。
「これを使えば、攻撃力や防御力を一時的に大幅に上げることができる。」
私は自分のオーラを増幅させようとする。
体の奥から力が湧き上がるような感覚が広がり、オーラが膨張していった。
「おっ、すごい!」
「習得が早いな。」
カイトが頷きながら続ける。
「だが、気をつけろ。練を長時間続けるのは体力的にきつい。最低でも6時間は持続できるようにしてから使うんだ。」
「うん、わかった!」
パイロも同じようにオーラを膨らませていた。彼も力強さを感じさせるオーラを放っている。
「これで基礎の3つは覚えたな。」
1ヶ月の修行が過ぎ、カイトは私たちを見渡して言った。
「ここからが本番だ。」
