第1章 目覚め
しばらくその姿を見つめ続けていたが、だんだんと目が重くなり、意識がぼんやりとしてきた。
冷たい風が頬を撫で、湖の水面がゆっくりと揺れる音が耳に響く。
その音が、何故か心地よく感じられて、体がだんだんと力を抜いていくのを感じた。
空気がひんやりと冷たく、洞窟の奥からも冷気が流れ込んでくる。
しかし、体の疲れがどんどん重くなり、意識がうまく繋がらないような感覚が広がる。
「眠い……」
目を閉じようとすると、まるで引き寄せられるように、私はそのまま湖のほとりに座り込んだ。
冷たい岩の上が心地よく感じ、ひとときの安心感に包まれながら、少しだけ横になる。
洞窟の静けさが、心地よい安堵を与えてくれる。
何も考えたくなかった。
答えを探し続けるのは、今はもう無理だと感じていた。
「…とりあえず、寝よう。」
自分にそう言い聞かせると、まぶたが重く、瞼の裏が真っ暗になっていく。
頭の中で、自分の姿がゆっくりと消えていくような気がして、気づけば、私は完全に眠りに落ちていた。
体を包み込む寒さも、湖の水の音も、何もかもが遠くなり、ただ無意識の世界へと吸い込まれていく。
この洞窟の中で、ひとときの安らぎを感じながら、私は眠りに身を任せた。