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隣の席の蜂楽くん【ブルーロック】

第6章 トラウマ


 
 おかあさん、どこにいるの?


 ざぁざぁと雨が降る。
 雨と雷の音は苦手だ。小さい時のことを思い出すから。

 放課後、柚は担任から頼まれ事をして理科室にいた。
 ハッとして目を覚ます。昨夜も遅くまで勉強していて、眠気を感じて少し休んでいたら理科室の机でうたた寝してしまったらしい。
 昔の嫌な夢を見た気がする。


 あの日以来、望月とは一緒に帰っていた。教えてもらった自習ルームに通って、ちょこちょこわからない所を教えてもらっている。頭が良いだけあって、人に教えるのも本当に上手い。
 次の実力テスト、成績上がっちゃうかも!

 今朝私と望月くんが付き合ってるって言う噂が流れたらしい(マナ談)。ま、中学の時も噂されたけどすぐ消えたしね。気にしない。

 兄が今日は午後から大雨になるって言ってたけど、当たったな。早く帰らなきゃ。
 今日は自習ルームもお休みだし。
 

 ダンボールから備品を出して並べていると、不意に理科室のドアが開いた。人遣いが荒い担任かと思ったのに、そこに立っていたのは蜂楽廻だった。

「蜂楽くん、どうかした?」
 なんだか話すの久しぶりだなぁ。なかなか話しかけるチャンスもなかったし。
 蜂楽は後ろ手でピシャリとドアを閉めると、柚の方にずかずかと歩み寄る。

「委員長さ、望月って奴と付き合ってるの?」
「いや、付き合ってないけど…」
 蜂楽くんまであの噂聞いちゃった?やだな。ていうか顔めっちゃ怖くない?
 いつもは爽やかなハニーレモン色の瞳が妖しく光る。
 壁際まで追い詰めて、ドンっと蜂楽は両手で壁に手をついて柚を挟んだ。 
 壁ドン。しかも両手。

「ほんとに?だったらなんで俺のこと避けてるの?」
「避けてるつもりないけど…」
(なんか怒ってる…?)
 なんだこの暴走モード。顔が近すぎるよ。

 柚は縮こまりながら、蜂楽から距離を取るタイミングを伺う。
 ちょうどその時、ピカっと理科室の窓が稲光で光ると同時に大きな雷鳴。

「きゃ!!」
 柚は床にへたり込んだ。


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