第4章 かいぶつ
サッカー部は、決勝戦で0-1で敗退した。
せっかく応援に行ったのに。
確かに蜂楽がパスした場所に誰もいなかったり、ボールキープして結果奪われたりしてたけど、彼がチームで一番上手いって一緒に見に行った兄が言っていた。
(それって、蜂楽くんがパスした場所に誰かいたらいいだけじゃないの?)
学校ではいつもと同じ様子だったけど、さすがの蜂楽も落ち込んでいるんじゃないだろうか。
今日、帰りに声掛けようと思ったら、もういなくなってた。
全国に行ったらきっと国内リーグとか有名大学の人が見にきて、スカウトされたりするんだよね?
決勝で勝つと負けるとでは大違いだよ。
もやもやしながら帰り道を歩いていた柚は足元の小石を蹴った。
石は道を逸れてころころと高架下の草むらへと転がっていく。
石の行方を目で追っていた柚はその高架下に黄色いジャージを着た見慣れた姿を見つける。膝を抱いて顔を埋めているのはー。
(蜂楽くん?この寒いのに何してるの?)
すぐに声をかけようかと思ったが、やめた。柚は近くのコンビニに急いで向かった。