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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第16章 穏やかな時



通学時より、少し遅い時間。

前方の電光掲示板に、彼の自宅最寄りのバス停が示された。
休日のためか通勤時間帯よりも遅い時間だからか、すいているバスは、定刻で動いている。

開いた前方扉から乗り込んでくる彼。

開襟シャツにカーディガン。
イージーパンツにスニーカーとシンプルな格好。

(背が高いと絵になるってのはゆうを見てるとつくづく思う)

バスでの待ち合わせ。
空いていた隣の座席に掛けて、おはようさん、と手を握る彼の手を握る。

「おはよう」
「べっぴんさん乗っとるな思たら、じぃっと見つめられるもんやから、照れてしもた」
「またまたぁ」
顔赤なってない?と軽口を叩く彼に少し、近づく。

「今日はまた、えらい可愛らしい格好やね」

耳元で囁かれた声に、そう?と少しスコートスカートの裾を摘む。
細いベルトで留められた、巻きスカートデザインのボトムに、白襟のポロシャツ。

「テニスだと、プリーツのイメージだったんだけど...」
「テニス、イメージした服やったん?」

言われてみれば、と侑士はショートソックスに白いスニーカーの脚に目を向けた。

(脚、キレーやな)

つい、白く、滑らかそうなそこに目線が止まる。

さり気なくバッグで隠されてしまい、真珠の顔を見る。

「えっち」
「見とっただけやで?
 綺麗なもんには目、奪われる言うやろ」

狭い座席で、羽織っていたカーディガンを脱ぐと、パサリ、と真珠の膝にかける。

「ゆうって、紳士なのか変態なのか、たまにわからない時ある」
「自分の彼氏捕まえてそらないやろ」
ひどいわぁ、と言いつつ軽く笑っている。

「出しとるんやから見るやろ。
 出しとるのに見るな言う方が酷やわ」
「女の子の脚、好き?」
その聞き方どうなん?と目を細める。

「好きなんだ。やらしー」
「否定はせんどく。
 マコトかて、つい、見てまうところ、あるやろ?」
なんだろう?と考える真珠。

「手、かな?」
繋いでいる手を見る。

「人ん事、言えへんで」
「脚よりマシだと思う」
「うわっ傷ついたっ!
 男の純情やって!
 弄ばんとって!」
「どこが純情っ!?ただの下心でしょ」
「なして、手は許されて脚は許されへんねん」

そ、れは、と先が無い真珠に、偏見はあかんよ、と笑ってみせた。

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