She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第47章 元カノ〜邂逅〜
「今はクラスもちゃうけど、そんなで海外交流んことでちょこちょこ話さなあかんくて」
位置の低い真珠の顔を覗き込む。
「なんも心配いらへんで
て言うても、不安煽るわな」
堪忍な、と小さな溜息をつく侑士。
「ううん、いいの。
なんか、むしろ...気、使ってもらっちゃったかなぁ、って」
「サオリにか?」
「『サオリ』さんって言うんだ」
「あ、」
しもた、と口を噤む侑士。
「ごめん。
意地悪な返し、した」
キュ、と手を掴む小さな手を握る。
「ゆうは、嫉妬ってする?」
「...せんこともない」
どっちなの?と笑った真珠。
「中学生のゆうを近くで見たかったなぁ、とか。
ゆうとどんな話をしたのかな?と
...キス、したのかな、とか...
そういう事を思うのって、嫉妬かな?」
眉尻を下げて、力なく笑う真珠。
「その気持ち、『痛い』ん?」
「...ちょっとだけ」
早口に答えた真珠を抱き寄せる。
「ほんまに、ちょっとだけ?」
ブレザーを着ていないワイシャツにしがみつく手。
「...むっちゃ、痛、いっ!」
「堪忍な、やな思い、させてもうて。
けど、安心しぃ。なんもないで。
もう、終わったことやから」
「っわかってんねんけどぉっ」
「せやね、そんなすぐ、昇華されへんよね」
「やっぱりもう一回高校生するぅ」
「ん。
俺も、マコトと氷高祭したいわ」
ゆっくりと撫でる真珠の髪に口元を埋める。
「なんなんよぉ
婚約者やの元カノやの...
頭、ぐちゃぐちゃなるぅ...」
「ホンマやで
もう全部ぐっちゃぐちゃにしてまい」
「うぅー」
唸る真珠に、チラ、と視線を上げた先に公園。
真珠の手を引いて、門もない、車両止のポールだけの入り口を通り、車道から目隠しになる植え込みの側のベンチに座らせる。
繋いだままの手を額に当てて俯く頭を撫で、触れた頬には涙の感触。
「マコト」
グスッ、と鼻を啜る音。
見上げる真珠の潤んだ目に、ぼんやりとした街灯が映り込んで輝いている。
涙を拭った指先で輪郭を撫で、濡れた唇に上からキスをした。
一度離した唇を再び塞ぎ、真珠が座るベンチの背もたれに片手をついた。
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