• テキストサイズ

She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第15章 さよなら、初恋



(その子が好きになるのも、わかるからなぁ)

現に自分は好きなんだし、とアヒルに心情を吐露している侑士の指先を見る。

(優しいから、ゆうは)

まだそう長い付き合いではないが、彼の優しさや気遣いには、溢れるほど触れてきた。
応えられない感情を、相手に伝える事に胸を痛めたのだろう、とアヒルと戯れている彼に目線を向けた。

「逆やったら、腸煮えくり返るほど腹立つからやろうなぁ」

そう言った侑士に瞬く。

「『マコトのなに知ってんねや』て」
肩で息をつくと、掌にアヒルを乗せて眺める。

彼の掌の上のアヒルは随分小さく見え、やっぱりあの大きな手が好きだな、と思う。

「お話聞いてくれて、ありがとやで」

ずいぶん気に入ったらしく、掌の中に抱えたタオルアヒルの頭を指先で撫でて少し笑っている。


つい、ずっと見つめていたせいか、パチリ、と侑士の目線とぶつかった。

「きゃー」
低い声に似合わない音に、手にしていて本を落としそうになった。

「どないする?アヒー。
 俺等の秘密がマコにバレてもうた」

タオルアヒルに勝手に名前をつけた侑士は、テーブルに肘をついた両手で、顔のあたりまでアヒーを持ち上げて隠れた。

「-バレた、バレたっ!
 マコトにバレた-」

アヒルを揺らしながらの甲高い裏声に、ふふっ、と笑って数行も進んでいない本を閉じた。

「お疲れ様、アヒー。
 ゆうの様子はどうだった?
 元気になってくれそう?」

組んだ手に顎を乗せ、どう?とタオルアヒルに聞く。

「-元気、元気!
  心配かけてごめんね-」
裏声で、標準語で話す侑士。
「よかった。大役、ご苦労様」
侑士の手からアヒルを受け取り、頑張ったね、と指先で頭を撫でる。

「アヒー。
 ゆうに伝えてあげて。
 『あなたのそのやさしさに救われる人もいるよ』って。
 『望まない気持ちを抱かれたとしても、あなたを変えないで』って。
 『少なくとも、世界に一人は、あなたのそのやさしさが大好きよ』って」

静かに笑った侑士の笑顔が、少し照れているように見えた真珠は、覚えた?とアヒーに問いかけた。

 ✜

/ 311ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp