She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第14章 新婚さんごっこ
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ただいまー、と言う声に、真珠は膝の上に頭を乗せている侑士を揺すった。
「おかえりなさい」
真珠が玄関に向かって返すと、ソファで寝転んでいた侑士が起き上がり、おかえりー、と伸びをする。
「あら、真珠ちゃん」
来てたのね、と帰宅した侑士の母。
「また、お邪魔してました。
恵里奈ちゃんからゆう、し君が体調よくないみたいだって連絡もらって」
大丈夫?と聞いた真珠に、だいぶ楽なった、と侑士は笑いかけた。
「ごめんね、いつも。
えりちゃんだけじゃなくて、ゆうちゃんまで甘えるようになっちゃって」
とんでもない、と否定した真珠。
「ゆうちゃんの事、こき使ってもいいからね。
そのための男の子なんだから」
「すでにだいぶ甘えちゃってます」
それでいいのよ、と笑ってキッチンに入る。
「あら」
2人分の夕食の支度と、すでに片付けまで終わっている2人分の食器。
「『オカン、遅なるかもしれん』言うたら、マコトが作ってくれてん。
あ、冷蔵庫のきずし、食うたよ?」
私、なにもしてない、と言いかけた真珠の指に自分の指を絡める侑士。
「よかった、気付いて。
具合良くないって言うから、生物やめたほうがいいか思ったけど、食べれたのね」
「そこまで弱っとらんよ。
痛かったん、腹やのぉて頭やし」
「お医者さんは?行った?」
「行ってへん。
マコトと会うたら、痛み引いたし」
「真珠ちゃんのこと考えすぎて頭痛くなっちゃったんじゃないの?」
ふふ、と誂う母の声に、ちゃうわ、と答えてソファを立った。
「部屋、行こか?」
「お茶、淹れてく?」
どうする?と聞く侑士に、大丈夫、と答えた真珠。
「あまり遅くならないうちに送ってあげるのよ」
「わかっとる」
ごゆっくり、と見送られ、侑士と彼の私室へ向かう。
「どうしよう、とても和美ママに罪悪感...」
この辺が、と胸を押さえる真珠に笑いながら私室の扉を閉める侑士。
「マコトこそ、大学、よかったんか?」
「後で同期にノートの画像、送ってもらう。
ゆうは大丈夫?
授業、出席点とか困らない?」
「ノートちゃんと書いて出せば平気やって」
ラグに座ると、不安そうにする手を引き、あぐらをかいた膝の上に抱き上げる。
「マコト」
「ん?」
見上げる真珠のサイドの髪を耳にかけると、ゆっくりと唇を重ねた。
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