She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第13章 彼の一番かっこいいところ
あ、『バックスピン』
侑士が打った球に、そう言った真珠。
「マコトちゃん、本当にテニスしたこと無いの?」
「無いよ。ラケットも握ったこと無い」
「でも、今、侑士の打った球がバックスピンって...」
「さっき、教えてもらったの」
えへへ、と少し得意げに笑う真珠。
「マコトちゃんって、今、大学生?」
向日からの突然の質問に、うん。と頷く。
「泉深女短だったっけ?」
そうだよ、と頷く。
「あー、だからか」
向日はドロップショットを決めた侑士を見て、笑った。
「ゲームセット!ウォン バイ 忍足!
10ポインツ トゥ 7」
宍戸のコールに、侑士が勝ったよ、と向日が言う。
「『だからか』って?」
「侑士さ、今、海外交流委員会なんだ。
たいだい、どっか他の高校と選抜生徒が交換留学的な事するんだけど、体験入学的に氷帝以外の大学に、数日通ったりする時もあんだ。
今年、それにしたいって。
んで、候補先に侑士が泉深女短あげたらしくて、『お前、男子だろ』って先生に総ツッコミ入れられてた」
あいつ、委員の職権乱用して真珠ちゃんの大学に行く気だったんだな、と向日が笑う。
「意外とバカっていうか、よくわかんねぇことするなぁって」
2人が座るベンチに戻った侑士。
「なあ、侑士?」
「?なんがや?」
にこにこと言った向日に、スポーツドリンクを飲みながら、なんのことや?と首を傾げている。
「侑士が意外とアホって話」
「アホ言うやつがアホなんやで」
即座に返した侑士は、見上げる真珠に、どないしたん?と声を掛けた。
コートではあんなにクールにプレイしていた侑士。
どうにか自分に会う時間を増やせないか、と考えていたのかと思うと、口元が緩む。
「なんやねん?そないに笑うて」
どないしたんや、と真珠の髪を撫でる。
「アホなんやなぁ」
侑士の関西弁を真似して言った真珠に、ケラケラ笑う向日。
「どういうことやねん、わからへんよ」
教えてぇや、と2人に聞いても、内緒〜、と誤魔化される。
「隠し事、無しとちゃうんか?」
「隠し事じゃないよ。秘密〜」
「おんなしやろ、そんなん」
気になるやん、と眉尻が下がる侑士。
そんな侑士に、顔を見合わせた向日と真珠。
「「ナイショ」」
笑って言った二人に、なんやそれ、と侑士は怪訝そうにした。
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