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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第13章 彼の一番かっこいいところ



(私も何か、できたらいいのにな)

コートで一人、練習をする侑士を見つめる。

(かっこいいなぁ)

サーブを上げたボールを追う瞳。
向こうのコートでバウンドした球の軌道を確かめている横顔を見つめる。

(今更、相手になるような実力つけられないよね)

まずボールを打てるのか、と一人、苦笑い。


ガシャ、とフェンスを開ける音に侑士が手を止めた。

侑士!と手を振るのは、ウエアにラケットバッグを背負った向日。

「珍しいじゃねーの。なぁ、忍足?」
その後から跡部が入ってくる。

「具合、悪いんじゃなかったのかよ」
普通に動いてんじゃねぇか、と宍戸が呆れたような声を上げた。

「あーあ、サボりがバレてもうたわ」
「いや、普通にわかるわっ」
「侑士、分かり易すぎだしっ」

昨日の今日で、と宍戸と向日は笑う。
当然のように、真珠が座るベンチの隣に座った跡部。

「こんにちは、跡部さん」
「真珠がいることも想定内だな」
ふん、とせせら笑った跡部。
「すみません、侑士君をサボらせてしまいました」
「別に責める理由はない」
以後、気を付けます、と言った真珠を一瞥すると、ジャージを脱ぐ。

「忍足」

マコトちゃんとなにしてたの?ねえ?ねえ?と絡んでくる向日と、やめてやれ、向日。その、言いづらいことあるだろっ男同士でも、とそわそわとして見える宍戸に絡まれていた侑士が、なんや?と背中に乗ってきた向日を背負ったまま跡部に向き直る。

「俺様が相手をしてやる」

んじゃ、ダブルスする?と言う向日。

「いや、シングルスだ」

そう言って跡部はコートへ向かう。

「ええ?いややわぁ。自分とやるん」
マコトの前やし、と弱気を見せる侑士に、ふん、と笑う。
「勝てばいいだけの話だ」
「勝たせる気、無いやろ?」
跡部と侑士のゲームは久しぶりだな、と侑士の背中から飛び降りた向日。

「宍戸、ジャッジを頼む」
はいはい、と宍戸は審判台に上がった。

「試合をするの?」
ベンチの隣に座った向日に、真珠が聞いた。

「そうだよ。跡部 vs 侑士。
 侑士にはマコトちゃんいるから、俺は跡部の応援でもしよっかな」
いらないって言われそ〜!と楽しそうな向日。

「マコトちゃんってテニスできんの?」
「ルールとかは、少し、ゆうに聞いて基本はわかってるつもり」

まだ勉強中、とベンチで向日と試合を見守る。
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