She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第2章 それが始まり
✜
マコトと姉を待っていると、当人からメッセージ。
-真珠、まだいる?-
「『真珠』?」
「どうしました?」
姉からのメッセージを見せると、ああ、と頷く。
「私の名前、『真珠』と書いて、『マコト』と読みます」
そう言って見せてくれたのは学生証。
「コレ、『つかつき』て読んでええの?」
「あ。すごい。
初見で『調月』を『つかつき』って読んだ人、初めてです」
「和歌山に『桃山町調月』てとこあんねん」
「よくご存じで」
父の実家は京都ですけど、と微笑む。
「なあ、気になっとったこと、聞いてええ?」
「はい、どうぞ?」
「なして敬語なん?」
俺、年下やん、と気になってたことを聞いてみる。
「癖のようなものなので、気にしないでください」
ふーん、と言いながら、なんとなく心地が悪い。
「敬語、やめてや?」
「え?」
「学校の先輩後輩な訳ちゃうし。
なんや、俺も姉ちゃんにつられてタメ口やし
落ち着かへんから、ふつーに話してや」
ふつーに、と呟く真珠。
「それとも、誰にも敬語なん?」
それなら気にせぇへんけど、と真珠をまっすぐ見てみる。
「そういう訳でもないですけど...」
「そやろ?姉ちゃんとはタメ口やったはずやし」
よく見ていますね、という真珠。
「人、見るん好きなんよ」
「そうですか、」
「ストップ。
ほら、普通に、ラフに話してみ?」
えっと、と少し悩むような表情に、困らせているだろうか、と思ったが、できるだけ違和感を消したくて見つめてみる。
「侑士君が、そういうなら。
えっと...侑士君は、よく、見てる、ね?」
探り探りな話し方に、しゃあないか、と少し笑う。
「うん。そっちの方がええわ」
少し笑った侑士に、真珠は、目線を下へとずらした。
✜
「俺、テニスしとること言うたったけ?」
ううん、と首を横に振る。
「学校、氷帝でしょ?
ほら、ラケットバッグ持ってたし」
「ああ、それで...」
よぉ見てるね、と感心する。
「私、きょうだいいないなら、いいなぁって」
「マコっさんが姉ちゃんなら、喜んで弟なるわ」
「あら、いいの?そんなこと言って?
恵里奈に言いつけるよ?」
「やめてやっどやされる」
「あははっそういう姉弟って感じ、いいね」
おかしそうに笑う真珠の飾らない笑顔に、侑士も無意識に素で笑っていた。
✜