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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第12章 DATE in HOME


週に3〜4日、とスケジュールを開いて見せる。

「えっと、北区の社教センターの中にある図書館、わかる?」
侑士の家からは、氷帝学園を挟んで真逆にある立地関係の図書館だ。
「使ったことあらへんけど、たまに取り寄せ頼んだらそっから来ること、あるよ」
「本当?
 じゃあ、私、ゆうが頼んだ本の書庫出納したことあるかも」
ふに、と笑う真珠。

「『しょこすいとう』?」
聞き慣れない言葉に、侑士が聞き返した。

「書庫って本を収納してあるところなんだけど、図書館の中で、利用者が自由に手に取れる場所が『開架書庫』。
よく図書館使うならわかると思うんだけど、検索かけて裏からとってきてもらう本ってあるでしょう?」
「あるね」
「ああいう本が置かれている、いわばバックヤードの本棚にある書籍を『閉架書籍』と言います。
 利用者の依頼などで、そこから本を探してくることを『書庫出納』と言います」

得意げに説明する真珠が可愛くて見つめる。

「レファレンスって言って、『こういうことについて調べたいんだけど』っていう相談の対応はできないんだけど、お願いされた本を取ってくるとか、裏で壊れたり破れちゃったりした本を修理するお手伝いをしたりしてるの」
「本の修理って、図書館でやるん?」
「損傷の程度によるけど、だいたい、その図書館で直すよ。
 専用のテープとか糊とか使って」
熟練さんになると跡形もなく直しちゃうの、と手帳を閉じた。

「次、シフトいつなん?」
「ん?金曜日の13:00から17:15まで」
「なんや、平日かいな」
つまらん、と言った侑士。
「来ても会えないよ?
 私、カウンター業務しないもん」
そうなんや、と残念そうな顔にくすくすと笑う。

「マコトが本出してくれるんやったら毎日通うわ」
「あははっ!ゆうが来るなら、私、ずっとカウンターの奥で待ち構えてるかもっ」
その出納、私行きます!って、と真っ直ぐに手を伸ばしてみせる。

「下手な本、お願いでけへんね」
「どんな本?」

んーと、と考えて、いたずらっぽく笑う。

「グラビア誌とかやろか?」
「図書館にありませーん」
「エグい官能小説とか」
「官能小説かはわからないけど、そういう表現がある本もあるよ。
 『痴人の愛』とか『娼年』とか」
「まあ、言うても文字やしな」
「急に冷静!」

おかしそうに笑う真珠の手を取って笑い合った。

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