She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第12章 DATE in HOME
✜
そわそわとラグに座っている真珠。
カチャ、と開いた扉に、はっと顔を上げる。
「まだ一応入るな」
そう言った侑士が着ているのは氷帝学園中等部の制服。
「全然、雰囲気違う!」
「高等部は白やからなぁ」
ネクタイはそのままなんよ、と赤茶のネクタイを今の制服から取る。
「なんか、中等部の方が大人っぽいっていうか大人しい気がする」
「高校生にもなれば、真っ白着ても大丈夫やろ、ってことなんかな」
確かにやんちゃ盛りにこの純白は、とラックのブレザーを見やる。
「高等部のブレザーの方が、校章ワッペンが大きい?」
「単純に全体のサイズ感やろ?」
ちょいでかく買っとるし、と白のブレザーを指す侑士を見上げた。
「なんか、ごめん」
なんで?と突然謝った真珠に面食らう侑士。
「よくよく考えずとも、数ヶ月前まで中学生っ」
うう、と口元を手で覆う真珠。
「不純異性交遊なのかしら」
「両者同意やから問題無いんと違う?」
真珠の隣に座り、なあ、と髪を梳く。
「俺が年下やいうこと、気にしとる?」
「それは、」
少し俯き、膝を抱える真珠。
「前は、気にしてた」
片想いだった頃は、と足の爪先を上げ下げする。
「お姉さんの友達とか、気まずいだけかなって」
「そんなん、気にする前に好きになっとったわ」
パッと顔を上げた真珠は、微笑む侑士の肩に頭を乗せる。
「実はね、ゆうと付き合う前に、恵里奈に聞かれたことがあるの。
『年下は対象外?』って」
「...なんて、答えたん?」
「確か、『そんな事ないよ。素敵って思えたら、好きになると思う』」
その答えに、どこか、ホッとしたような表情の侑士に真珠は気付かない。
「自分で、自分の未来予知でもしてたのかな?
実際、ゆうを好きになったわけで」
今思えば不思議な話、と穏やかに笑う真珠。
再び髪を撫でる侑士を見上げる。
「なに?」
「かわええなぁ、思て」
ふわ、と赤みを増した真珠の頬。
「マコトは見とって飽きへんね」
「そんなに面白い?」
「一緒におって楽しいで」
「私も、ゆうといる時間、大好き」
嬉しそうに笑う真珠。
そうや、と侑士は真珠に向き直った。
「さっきの電話やけど、姉ちゃん言うとったバイトて?」
「あれ、話してなかった?」
「聞いてへんよ」
「図書館で司書補助のアルバイトしてるの」
なんやそれ、とネクタイを緩めた。
