She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第12章 DATE in HOME
侑士の携帯には、「オカン」の表示。
「学校行ってないの、バレちゃったかな?」
不安そうに見てくる真珠。
「大丈夫や」
しー、な。と人差し指を立てる侑士に、口を手で塞ぐ真珠。
(かわええ)
その姿にくすりと笑って、ベッドに寝転ぶと、携帯を耳に当てた。
「誰ー?」
どこかだるそうに聞こえる侑士の声に、真珠が目を瞬かせる。
-ゆうちゃん?
今、どこおるの?-
学校から連絡が、と言う微かな声が聞こえる。
「あー、ジローに言うとって言ったんやけど、あいつ、忘れたな」
ごろり、と寝返った侑士。
「家出たんやけど、バスで気分悪なって引き返してん。
熱無いし、めんどくさなって部屋で寝とった」
-そうだったの。病院は?-
「そこまでちゃうよ。
寝とけば治るやろ」
-辛くなるようなら早めに行くのよ。
えりちゃんに早く帰ってくれるように言うから-
「子どもちゃうんやから、大丈夫やって。
姉ちゃん呼ぶなら、マコト呼ぶわ」
-姉弟して真珠ちゃんに甘えないの-
あなた達は、と呆れ声の母。
-ちゃんと休むのよ。何か欲しいものある?-
「ん、なんもないで」
-はーい。夕方には帰るから。おだいじに-
両手を着き、膝を抱えるようにして跳ね起きる。
「これでアリバイ、完璧や」
「なんて悪い男なんだ」
「その男に捕まってもうたん、忘れんどきやぁ。
しゃあないから罪滅ぼしに、夕飯は作っといたろ」
「えらいねぇ。
できた息子さんだねぇ」
「どっからの目線なんよ、そのコメント」
二人で笑い合うと、今度は真珠の携帯に着信があった。
「恵里奈だ」
もしもし?と真珠が出る。
-マコ?あの、今日ってバイトある?-
「無いよー?」
隣の侑士が、少し顔を寄せて聞き耳を立てている。
-ママから連絡来て、ゆうちゃんがバタンキューなんよ。
私、今日帰るの遅くなりそうで、ママも出かけちゃってるんだよね。
時間あったら、様子、見に行ってやってくれへん?-
頼むわぁ、と言う恵里奈の言葉に、ちら、と隣の侑士を見て、わかった、と返事する。
「侑士くん、何が好き?」
-えー?んー、マコが行けばそれでいいと思う-
なにそれ、と呆れ声を返すが、よろしく頼むわ〜、と切られた。
「姉ちゃんなりの気遣いのつもりなんやか?」
苦笑いの侑士に、どうなんだろうね、と携帯を置いた。
