She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第12章 DATE in HOME
✜
(おいしっ)
程よい果物の酸味とスッキリとした甘みが丁度いいフルーツティーに感動する。
(どこで買えるのかな?)
中に浮かぶ果物はドライフルーツなのか?とガラスを凝視する。
「好きやなかった?」
有りモンで作ったから、と言った侑士に、ふるふると頭を振る。
「逆!むしろむっちゃ好き!
フレーバーティー好きだけど、こんなおいしいの初めて飲んだっ」
どこのメーカーの?と聞いてみる。
「ヌワラエリヤ言う、スリランカの茶葉や。
メーカー...どこのやったっけ?
グラニュー糖で作っとるけど、甘さ、大丈夫か?」
ヌワラエリヤ、と確認し、うん?と首を傾げる。
「グラニュー糖、で、作った?」
せや、と頷く侑士。
「フルーツ有りもんやったし、即席やから、ペアリングがあっとるんかは知らん」
もうちょい綺麗に切れたら良かってんけど、と十分揃っているカットフルーツをスプーンで掬っている。
「ゆうが作ったの!?
その、パウダーのとか、キットとかじゃなくて?」
「せやけど、」
それが?と言う侑士。
「果物切って、紅茶淹れるくらいできるわ」
「いやいやいやっ!めっちゃお店の味やったよっ!?」
待って、と紅茶を一口飲み、うん、と確認する。
「売りもんやんっ!
お金、取れるて」
2、3度瞬いて、侑士は吹き出した。
「関西弁なんか?それ」
おかしい、と笑いながら眼鏡を外して、眦を拭う。
「へたくそ」
くくっ、と笑う侑士が、年相応に見えて自然と笑顔になる。
「東京...来て?何年、なるん?」
それらしい関西弁を使おうとしている真珠に、侑士にも笑みが溢れる。
「4年目やね」
「ずっと関西?」
眼鏡とグラスをテーブルに置く。
「国内は、そうやね。
一瞬、ルクセンブルクにおったよ」
「どこ?」
ドイツとベルギーとフランスの隣国、と真珠の髪を指に絡めて遊ぶ。
「英語、得意?」
「苦手ちゃうけど...
向こうはルク語とドイツ語とフラ語が多かったな。
書くんはドイツ語、会話はルク語、ルク語がわからんやつおる時はフラ語なんや」
んん?と言う真珠に、めんどいやろ、と笑う。
「今でも話せる?」
「ルク語はほとんど忘れてもうたなぁ
フラ語とドイツ語は、たぶんまだなんとなしできるで」
おお〜、と、小さく拍手する真珠。
と、そこに着信音が混ざった。
