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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第11章 煽り、煽られ、歩調合わせて


ピヨピヨ、と鳴る携帯。

06:45の表示に、(ゆう、起きてるかな)と考えると、よし!と目が冴える。

昨日のやりとりで終わっている履歴に、起きてるかなぁ?とメッセージを送るか悩んでいると、新着。

-起きとる?-

脳内で再生される低い、心地よい声にニヤける。

-起きたよっ!-
グッドモーニング!と羽を振るシマエナガを添えて送る。
-いつものバスと変わらへん?-
今日の講義ならば、後2本は遅くても平気だが。
-いつも通りです-
せっかくなら会いたい、と彼がいつも乗る時間のバスに間に合うように支度する。

「おはよー」
パジャマのまま居間に行くと、まだ父が食卓で新聞を読んでいた。
「まだ7時前やで?寝ぼけとるんか?」
「はい、ててさんお茶、ボッシュートでーす」
「淹れてやぁ」
ふーん、と出しかけた父の湯飲みをしまう。

「おっはよーございまーす!」
玄関からの声に、おはよー、と返す母と父。

「おはよう、勘ちゃん」
「珍しいね、マコトちゃんが起きてる」
「ちょっとねー」
勘助にもお茶を淹れ、仕方なく父にも用意する。
「あれかな?彼氏くんと待ち合わせ?」
「え?」
「真珠に、彼氏、いるの?」

父と母の反応に、まだ話してない感じ?と勘助は苦笑いした。

「勘ちゃーん」
「ごめん」

もうっ!と睨む真珠に、ごめんよ、と手を合わせる勘助。

「彼氏、いるの?」
女子校なのに、と聞いた母に、学校の人じゃない、と答える。
「...同じ、バス、使う人...」
「あんたねぇ、変な男に捕まったんじゃないの?
 そういうのに憧れるのはわかるけどね、そんなよくわかんないバスが同じってだけの男に...」

母の言葉に、カチン、と来てそんなんじゃないっ!と声を上げる。

「ゆうのこと、なんにも知らないくせに、勝手に決めつけないでっ」
言わなきゃよかった!と居間を飛び出す。

「マコトちゃんっ!」
呼び止めた勘助を押しのけて自室に駆け込むと、さっさと着替えて身支度し、行ってきます、も言わずに家を飛び出した。

(なんにも知らないくせにっ
 いっつもそうやって決めつけてっ)

大股で向かったバス停にバスはなく、待つ人もいない。
溢れ出た涙を雑に拭う。

握りしめていた携帯が、メッセージの到着を伝えた。

-今、家出たとこ-

あのね、とさっきの母の言葉を伝えかけたメッセージを取り消した。
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