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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第9章 レギュラー



 ✜

それからも、跡部からの質問は続き、二人の馴れ初めもどきの話や、侑士の中学の頃の話を聞いた。

「え?バイオリン、ですか?」
目線を向ける真珠に、やるで、と答える。

「去年まで定期的にレッスン受けよったけど、受験もあるし、高校入ってから定期のはやめてん」
落ち着いたらまたやろう思てる、と頷く。

「本物のバイオリン、見たことないです」
「今度、見したるよ」
「うれしいです!楽しみですっ」
こんな感じですかね?と見様見真似構える真珠の手を、逆やで、と取る。
「持つんやのぉて、肩に乗せて頬で抑えるんや」
弦も掴むより摘む、と構えてみせる侑士。

「うん、なんか、雰囲気あります」
「リクエストがあるなら、練習しとくで?」
「いいですか?
 んー、あまりクラシックに明るくなくて...
  バイオリンで浮かぶのは『情熱大陸』とか...」
「ああ、有名やからな。
 好きな映画の主題歌でもええで?」
「難易度とかがわからないので、思い浮かんだ曲でいいですか?」
ええよ、と言われ、それじゃあ、と少し考える真珠。

「『マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン』」
「タイタニックか」
はい、と笑う。

「よかったわ。割と弾きやすい曲で」
「そうなんですか?」
「そう難易度は高無いな」
「よかったです。
 すっごく難しいのだったらどうしようかと思いました」
気ぃ遣いやねぇと真珠の髪を撫でる。


「マコト」
呼んだのは跡部。
はい、と返事をした真珠だったが、侑士の様子に、どうしましたか?と向き直る。
「なんもないで?」
「...そうですか?」
うん、と笑ってみせた侑士の目を見つめ、ならいいのですが、と跡部に視線を戻す。

「なんでしょうか?」
「学校は?どこに通っている?」

それに応えたのは、向日だった。

「マコトちゃんは、泉深女子短で図書館の先生になる勉強してるんだよねっ!」
「なして岳人が答えんねや」
はあ、とため息をつく侑士。

「意外だよなっ!侑士が年上と付き合うって
 おめでとう。近々、童てっぐはぁ!」
笑顔で岳人の鳩尾に手刀を入れた侑士。
「ガクト、女の子おるんやから、やめときや」
「スミマセンデシタァ」
「もう高校生やろ。
 弁え言うもんを身につけや」

男の子だなぁ、と蹲っている向日を見ていた真珠は、はた、と別の視線に気づき、そちらを向いた。

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