She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第8章 一人目の男
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「あー、苦し」
「面白すぎだしっ」
一頻り笑った二人に、すみません、と恥ずかしさで小さくなる真珠。
んじゃ、改めて!と向日は目の横でピース。
「向日 岳人!氷帝学園高等部1年理G組っ
侑士とは中学の時からダブルスパートナーだよっ」
今はクラスも一緒だよっ!とアイドルさながらにウインクしてみせた向日。
近くで見るほど、話すほど、向日が男子であると確定付けられていき、すみませんでした、と背筋を正す。
「調月 真珠と言います。
泉深女子短大の2年。文化教養学科です
今は、司書資格の勉強をしています」
そうやったん?と聞く侑士に、言ってなかったけ?と言う。
「『シショ』って?」
なに?と聞く向日に答えたのは侑士。
「図書館での本の貸し出しとか、調べたいことの資料とか探してくれる人のことやで」
「図書室の先生ってこと?」
「学校の図書館の先生の資格は、『学校司書』。
私が勉強してるのは『図書館司書』。
同じ司書でも、別の資格なんです」
むつかしー、と訳が分からないという顔をする向日。
「岳人は『筋肉派』やからな」
「む、うるせーし!」
「チビやしのぉ」
「なんだよっ自分だけ、すくすくすくすく成長しやがって!」
「中学ん頃から見たら2センチでとしか伸びてへんよ?」
「うわー!ムカつくしっ
半分よこせしっ」
逆転した二人の身長差を想像し、ふふ、と真珠が笑う。
「突然90cm近く身長が伸びちゃったら、きっと頭をぶつけるし、立ち上がるのも怖くなりそうですね」
突然、視線が1m弱も高くなるなんて、とくすくす笑う。
(可愛ぇ)
触れたくなって伸ばした侑士の手は元に戻った。
真珠を挟んだ向こうで、ニヨニヨとした笑い方の向日。
「なんやねん」
「べぇつにぃ。
なぁんも言ってねぇしぃ?」
「目線がうるさいねん」
「どういう意味だよっ!?」
でも残った90cmの侑士くんは、それはそれでかわいいかも、と、真珠は足元にちょこんと立つ侑士を想像して、ひとり、笑った。
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