She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第6章 姉とカノジョ。
白状とか仰々しい言葉使うからや、と真珠を見る侑士。
「お互いの気持ちを確かめあったということで」
えへ、と言う真珠。
「俺、ただ本人に惚気ただけのイタイ奴になっとるやん」
まだ熱が引かないのか、掌で顔を仰ぐ侑士。
「ひとつ、また侑士くんのいいこと知った」
熱い、とよく冷えたアイスコーヒーを飲む侑士が、なん?とストローをくわえて真珠を見る。
「意外と嫉妬するし、カッともなるし、ズバッと伝えちゃうタイプなんだね」
「っ誂わんとって」
ふいっ、と目を逸らす侑士。
「熱血漢な侑士くんも好きですよ」
おおきに、と照れ隠しなのか、ただ熱くなったのか。
制服のブレザーを脱ぐと、真珠の肩に掛ける。
「その『侑士くん』やめてや?
なんや、他人行儀でいややわ」
「あ、えっと、じゃあ、『ゆうちゃん』?」
ちゃんはちょっと、と拒否する。
「オカンか恵里奈に呼ばれとるみたいさかい」
「そっか、ふふ。じゃあ『ゆう』?」
ん、と頷いた。
「ゆう」
「...なんや?」
優しく笑う顔からは、さっきまで嫉妬を燃やしていた強面は全く結びつかなくて、意外と表情豊かだ、と真珠は気づいた。
「ふふ」
「なんがおもろいん?」
「ううん。『好きだな』って思っただけよ」
「...さよか」
雨 止んだわ、と空を見上げ、帰ろか、と立ち上がって真珠の手を取る。
傾いた太陽が辺りを真っ赤に染めている。
「眩しいのぉ」
西日や、と手で影を作る侑士は眼鏡を取った。
「反射して見えへん」
ワイシャツの胸ポケットに眼鏡を差し、少し髪を手で梳く。
隣りにいた真珠が、トン、と一歩先に行き、向かいに立つ。
「なんや?」
行く手を阻まれた侑士は、どないしたん、と立ち止まる。
「ゆうの目、ブラウンに、少しブルーが見える」
綺麗な目、と見つめる真珠。
「あんま見んとって。
恥ずかしい」
「ふふ。かーわいい」
わかった、と隣に戻った真珠が手をからませてくる。
「男に『かわいい』はどうなんや」
「かわいいんだもん」
「かなわんのぉ」
「大好きなので」
ふい、と目線を外に投げた侑士の耳が少し赤いのに気づいた真珠は、ワイシャツ越しの体温の低い腕にギュッと両手を絡めた。
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