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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第46章 宣戦布告っ!...か?



 ✜

「『保留』てなんやねん」

顔を顰める侑士に、こっちの都合もあるんや、と瑛士はナプキンをテーブルに置いた。

「いくら待たれたかて、気は変わらへんよ。
 俺は真珠と結婚すんねやから」
「わこうた。
 ゆうちゃんの気持ちはわこうたから。
 婚約言うてもな、ゆうちゃんが思うような婚約とちゃう」
「『ゆくゆく、結婚しましょうや』以外の婚約とかあるんか?」
する気が無いのに婚約するておかしいやろ、と言う侑士。

「うん、せやな。
 まどろっこしぃ事した俺があかんかったわ。
 今回、侑士を婚約させよか言うことになったきっかけは、ギルベルトなんや」
「父親の?」
どういうことや、と先を促す。

「せや。
 今、俺のおる研究所の所長なんやけど、侑士、イヴァンはんはわかるか?」
「名前は」
「彼がな、先、長ないんや」
「え?」
固まったのは、真珠も同じだった。

「ギルベルトのお父はんのイヴァンはんは、研究所の設立者でもあるんやけど、去年、倒れはってな。
 そんで、イヴァンはんが跡を継いではるんやけど、イヴァンはんには、娘しかいてへんのや」

黙って聞いていた恵里奈が、待って!と声を上げた。

「姉ちゃん、」
そっ、と手で座るように促した侑士に、隣で真剣な眼差しで聞く真珠を一目見て、恵里奈は着席した。

「あそこは、国の支援も受けとる、ドイツでも指折りの医療研究機関や。
 ロールシャッハ家は、忍足とおんなし、医者家系やねん。
 イヴァンはんには一人娘しかいてへんで、イヴァンはんの兄弟は、いてはるけど医学の道に進んでへん。
 次代はイヴァンはんが継ぐとして、その先がなぁ」

言葉を濁す瑛士に、あの、と声を上げたのは真珠。

「要は、お父様の上司の方の『お世継ぎ』問題解決のために、本人の許可を得る前に、ご自身のお子さんをどうか?と提案された、ということでしょうか?」
「...私は、侑士が将来の道を迷っているなら、この道もあるんだ、と示しただけだよ」

瑛士の視線に、真珠は侑士の手を握った。

「侑士君に、謝ってくださいっ」
「マコト?」

握られた手の震えに気づいた侑士は、真珠の横顔に息を呑んだ。

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