She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第45章 『反抗期届』
✜
「ゆうって、小さいころからあんな感じ?」
あんな感じ、とは?と向かいの親友を見る恵里奈。
「どこか達観してると言うか、精神的に落ち着いてると言うか、大人っぽいと言うか...」
「え?あのすっとこどっこいが?」
「...うん、意見の乖離がすごい」
ゆうがすっとこどっこい...?と真珠は、ネイルカラーを手に首を傾げる。
「え?結構バカだよ?
幼稚園の時、ジャングルジムのてっぺんに立って、足滑らして股間打って落ちたでしょ?」
「いったそう」
うわっ、と顔を歪める真珠。
「料理好きだけど、すぐ道具とか調味料見失ってずっと探してたり」
結構、テキパキ動いてたけどなぁ?と次のチップを手に取る。
「めっちゃ集中して本読んどると思ったら、もう終わるやんってくらいの時に『これ、前読んだわ』とか言い出すし」
それは私もある、と小さなビジューを選ぶ。
ただいまー、という声に、おかえり〜!と2人で返す。
「あ、ゆうちゃんに今の事、言うたらあかんよ?
機嫌悪なるから」
はいはい、と頷くと、マコトおる?と制服姿の侑士が顔を出した。
「なんしてん?」
「ネイルチップ作ってたよ」
成人式用の試作、と彩られたチップを見せると、かわええ、と寒色系のデザインに微笑む。
私室に向かう侑士を見送り、そう言えば和美ママは?と恵里奈に聞いたタイミングで、再び、玄関から声がする。
「マコトちゃん、いるの?」
ちょうどよかった!と帰宅した和美に、首を傾げる。
「瑛士さーん」
「え?パパ?」
「ええっ!?パパ!?」
恵里奈の言葉を鸚鵡返しした真珠が、えっ?え?ええっ?と慌てているうちに、再び、リビングの扉が開く。
「瑛士さん、真珠ちゃんよ。
ゆうちゃんの彼女さんなの」
和美に手を引かれて来たのは、スーツ姿の壮年男性。
「はじめまして。
恵里奈と侑士の父です」
関西のイントネーションの声は落ち着いていて、約2年前、塾で一度会った時より、少し、髪を切ってきた。
「あの、お邪魔しています!
えっと、調月 真珠と言います。
お見知り置き、くださいませ」
ペコペコと頭を下げる真珠。
「パパ、マコに会うたこと無いっけ?」
恵里奈の言葉に、どうやったかな?と考える瑛士。
そこに、なあ、と声。
「おかん、出かけとったん?」
帰ってきた?と部屋着の侑士が入ってきた。
