She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第45章 『反抗期届』
所変わって氷帝学園高等部。
「はあ、」
配られた個人成績表を手に、侑士は自席に突っ伏した。
「赤点回避したぜっ!」
どうだ!と自身の成績表を掲げる向日は、反応の無い侑士に、どうした?と声を掛ける。
「後期ぶっ飛ばして進級でけへんかな」
「なんだよ。
次の大会、俺とのダブルスだけじゃ不満なのかよ」
ちょうよ、とのっそり上体を起こす。
「海外交流や」
「あ、そっか。
今年も委員なんだっけ?頑張れよ」
「他人事ぉ。
がっくん、薄情やぁ」
「なんだよっ!」
ひでぇやつ、と頬を膨らます向日に、女の子の件だね、と滝が言う。
「ご両親は、彼女さんのこと、知らないのかい?」
「知っとるよ
向こうかて、本人了承してへん言うても、そういう話が出た仲やで?
それで学校生活送れって、気まずすぎるやろ」
「向こうは、忍足と結婚する気なんだ」
「え?どうなんやろ?」
知らないのかい?と滝は驚いた。
「海外交流委員としてしか、コンタクト取ってへんもん」
「そうなんだ。
じゃあ、向こうもあまり乗り気ではないのかな?」
それとも興味がないだけ?と言う滝。
言われてみれば、と侑士はもう一度考えた。
「あちらはんに、結婚する気があるんなら、もうちょい、なんやあってもええよな...?」
「なんかって?」
なに?と聞く向日に、そうだねえ、と滝は考える。
「向こうから連絡が来るとか、アプローチがありそうだよね」
なにもないんでしょ?と聞かれ、無い、と即答した侑士。
「海外交流委員は、ファーストコンタクトのあと、教員監視のもと、チャット交流できるんだよね?
忍足、やりとり、してる?」
「いや、その辺は全部、末浦ちゃんが...」
「一つの可能性として、彼女、結婚云々の件、知らないんじゃない?」
確認してないんだよね?という滝の言葉に、頷く。
「さて、忍足ができる対応は、なんだろうね?
1、結婚云々の件はまるっと無視
2、先手必勝。『結婚の意志はありません』宣言
3、一応、相手がどのあたりまで親の考えを把握しているかだけは確認しておく
4、第二夫人なら空いてるよ、と伝える」
「今確実なんは、4はあらへん」
無いんだ、と笑う滝。
「むしろ滝、俺の第二夫人にならへん?」
秘書でもええよ、言う侑士に、絶対に嫌、と滝は笑顔で髪を払った。