She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第44章 外野の暗闘
後日。
考える跡部を、向日は真剣に見ていた。
「つまりは、こうじゃねぇか、と言いたいのか?」
手元のタブレットのメモ機能を起動させると、タッチペンでスラスラと書いた相関図を見せる跡部。
越知氏→マコト↔忍足←花開院氏
不安そうに落ち着かない向日は、うん、と頷いた。
「花開院先輩って、前から結構...ほら、ゆーしにガンガンだったし」
「だとして、今さら花開院氏が何か行動を起こすとは思えないが?
仁井村との事だって、花開院氏は把握しているはずだ。
越知先輩に関しては、ただの憶測だろうが。
それに、仮にこの関係性の左右が事実だとして、向日、お前に何ができる?
こいつらの問題だ。俺も含め、外野が口を出すことじゃない」
「っだけどさぁ!」
正論で返された向日は、生徒会長席の机に手をついて身を乗り出した。
「俺、ゆーしとマコトちゃんに別れてほしくねぇんだよっ」
だって、と続ける。
「ゆーし、最近すっげえ、調子いいんだよっ
昔からそんなにブレる方じゃねぇけど...ほら、」
向日は言いづらそうに視線を落とした。
「U-17のあとん時みたいに、なってほしくねぇよ...」
あのゆーし、怖ぇから、と拳を握る。
ふう、と息をついて、前髪を払う跡部。
「向日、お前、忍足と組んで何年になる?」
「3年...2年ちょっと、かな」
「忍足の何を見てきた」
クッション性の高い革張りの椅子で脚を組んだ跡部。
「昔のあいつを思い出してみろ。
今更、外野にどうこう言われて、てめぇが愛した女を手放すタイプか?」
違うだろ、とせせら笑う。
「周りが反対したとして、素直に言うこと聞くか?
『アメラノマ』の件のあと、ずいぶん足を取られてたみてぇだが、てめぇが断ち切ったやつだ。
あいつには、忍足にはその経験がある。
端から見ていて気になるのはわかるが、どうしようもねぇ」
そんな事でうじうじ考える暇があるなら練習しろ、と跡部は書簡の書類を手にした。
「忍足(アイツ)には、俺たちもいる」
跡部の言葉に、向日は、うーん、と唸った。
「何か動きがあるようなら、俺も考える」
何もないのに動いても無駄だ、と生徒会の仕事を始めた跡部に、向日は腑に落ちない顔で頷いた。
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