She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第44章 外野の暗闘
「て、感じだったから、マコトちゃんと付き合い出したゆーしは、まじで別人」
午後の試合が始まり、ギャラリー席でまだ出番がない向日と話していた真珠は、午後イチの試合で2年生と対戦している侑士のコートを見た。
「付き合ってるって気づかないレベルだったぜ。
仁井村も自己主張激しいタイプじゃなかったし、いつの間にか付き合っていつの間にか別れてた」
「それで、本人も『ノーカン』と」
「っなんだっけ?『たいけんにゅーこい?』」
「『体験入学』みたいなことだったんだろうね」
「ゆーし、たまぁにボケんだよなぁ
しかも、そのたまのボケも天然だったりするからウケんだよ」
意味分かんね、と転落防止柵に腕を乗せ、コートを見下ろす向日。
「マコトちゃんはさぁ、気になんねぇの?
ゆーしの『女関係』」
「言うほどあるのかなぁ?」
「跡部までは行かねぇけど、ゆーし、結構手紙貰ってるしファン、いるぜ」
「やっぱりいるんだっ!
『おらんのとちゃう?』とか言ってたのにっ」
「去年のバレンタイン、試しにテニス部で統計したら全体でも跡部、宍戸、忍足がTOP3だったぜ」
ちなみに俺は4位!と笑う向日。
「跡部に関しては、『モテ』ってとこもあっけど、『ノリ』もあるし、実質ノーカンだよな。
そうなると、うちで一番モテんのは宍戸かなぁ。
ゆーしはさ、陰のファンが多い。
あーやって、キャッキャできないタイプ」
あれ、とギャラリー席の最前列で、「跡部様」と書かれたうちわや横断幕を掲げる「生徒会奉仕部」を指差した。
「...あれって、作成費、誰がお金出してるんだろう」
「気になるのそこかよっ」
「向日君」
ケラケラ笑う向日が振り向くと、え、と声を漏らした。
「あーっと、ご無沙汰してまーす」
目が泳ぐ向日に声を掛けた姿を見上げる。
アッシュブラウンの巻き髪が美しい姿に、ほう、と真珠は瞬いた。
チラ、と向けられた視線に、慌てて会釈する。
「そちらの方は?」
「えっ!?あ、あっえっと...そうっすね。え〜、と」
はっきり答えない向日に眉を顰める彼女。
「彼女に、なにか用か」
真上から聞こえた声に驚いて振り返った真珠と向日。
「あ、」
「っ越知先輩っ」
お久しぶりですッ、と立ち上がる向日につられて、真珠も立ち上がった。