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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第44章 外野の暗闘


跡部との一戦を終え、中等部のテニス部へ仮入部する予定だった侑士は、跡部の独裁により既にテニス部の正式な部員としてカウントされていた。

「ゆーし!部活行こうぜ」

跡部と同じクラスの宍戸、芥川も入部が決まり、侑士と同じクラスの向日とは、最近よく話している。


昇降口に向かっていると、侑士、と呼び止められた。

「花開院先輩」
「テニス部、決まったそうね」
「おかげさんで」
高等部の制服の彼女は、ちーっす、と言った向日を一瞥し、ちょっといいかしら?と言った。

「ゆーしっ!俺、先行ってるな」
「あっ、ガクトっ」
待ちや、と言いかけた声は、彼には届かず、なんやねんな、と呼び止めようとした手を降ろす。

「ごめんなさいね。引き留めて」
「いえ、なんです?」
「どう?氷帝学園は?」

どうって...とラケットバッグを抱え直す。

「まあ、まあまあやっとります」
「困ってることはない?」
「ええ?なんやろ...
 校内で迷子なりそうやくらいですかね」
そう、と微笑んだ花開院。
「遠慮なく、いつでも声を掛けてね」
「はあ、そらおおきに」
「引き止めてごめんなさいね。
 部活、ケガしないようにがんばってね」
「ありがとうございます」

またね、とすれ違う時、軽く肩に触れてきた彼女。

面倒見のいい人やなぁ、と部室へと向かうと、すでに着替えた向日がいた。

「あの人、去年の中等部の生徒会役員だろ?
 なんか言われたのか?」

いいや、と自身も着替えを始める。

「『困っとること無いか?』て
 『テニス頑張って』言われただけやで」

ふーん、とラケットを手に、ガムを膨らませる向日。

「告られたんじゃねぇんだ」
「はぁ?んな訳無いやろ。
 向こうさん、高等部やで?」
「関係あるか?ゆーしは年上は無し?」
「んー?んん?」

どうなんだろうか?と自問自答に首を傾げながら制服から着替える。

「彼女欲しい、とかねぇの?」
「考えたこと無いなぁ。
 いつまで氷帝(ココ)におるかもわからへんし」
「え?転校すんのか?」
「言うてへんかったっけ?
 うち、オトンが転勤族やから、いつまで東京おるか、正直わからへん」
「そうなのかっ!?」

聞いてねぇよっ!と声を上げる向日に、いや、すぐにっちゅう訳ちゃうで?と体操着にラケットを手に、ロッカーを閉めた。

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