She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第6章 姉とカノジョ。
バス停で降りる。
「勝手に入るんは、まずいよなぁ」
無人の開かれた門の前で、どないしよ、と辺りを見ると、門の脇に警備室があった。
人を迎えに来た、と言えば入れてくれるだろうか、とそちらに向かってみる。
警備室前に一人、人がいた。
「図書館の利用ね。じゃあ、この紙書いて」
見慣れない制服の女子生徒は、警備員から受け取った紙に記入をする。
差し出したそれと引き換えに、首下げの『入校証』を受け取ると門を抜けて行った。
「あの、」
警備室の警備員に声を掛ける。
「図書館、使いたいんですけど」
「利用は初めて?」
そうです、と頷く。
「身分証は持ってる?」
制服の内ポケットから学生証を出した。
渡された紙に名前や住所、入門時間などを記入する。
返却された学生証と入校証を受け取った。
「こっちは出る時に返してね」
どうぞ、と開かれた門の横の小さな門を開けてくれた。
「入れるんや」
試合以外で、それも大学に入るのはどこか落ち着かない。
「女子大やしなぁ」
ほんまに良かったんやろか。まあ、でも通されたし、と踏み入れた先で止まる。
「どこにおんねや」
再度、真珠に連絡を取ろうとした時だった。
「え?ゆうちゃん?」
呼ばれて顔を上げると、なにしてんの?と折りたたみ傘を差して怪訝そうにする姉がいた。
あーっと、と返事に困っていると、えり?と言う声。
「あれ、男の子」
姉の隣には大学生らしき男性。
女子大やったよな?と見ると、ねえ、と姉に問いかける。
「違うって、弟」
「ああ、『ゆうちゃん』ね」
どうも~、と言う彼に会釈する。
「なんでいるの?」
「こっちのセリフやで」
なんでよりによって、とどこか居心地悪い。
「図書館、使いに」
ここの方が種類多いから、と言った恵里奈。
珍しく口籠る侑士に、ねえ、と駆け寄ってきて、耳元で囁く。
「マコに会いに来た?」
なして、と見た恵里奈は、そうなんだ、とあっさりした反応。
「ま、真剣交際なら報告はしてね」
見下ろした恵里奈は、恋愛は自由さ、と一緒いた彼の元に戻る。
いいの?とこちらを見る彼の腕を引き、子どもじゃない、と言う背中を見送る。
(まさか、知っとるんか?)
「自分は言わへんねや」
絶対彼氏やん、と見送った姉に聞き忘れた図書館の場所を真珠に聞くため、携帯を取り出した。
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