She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第42章 To play
✜
「マコトちゃん、サイコー!」
キャハハー!と笑う向日。
「ガクト君!笑いすぎやっ!」
やめて!と紙コップに冷えた麦茶を注ぎ、侑士に渡す。
「おおきに。
『もう先輩方、おらへんのやけど、いつ止めようか』て、つい眺めてもうた」
「即座に止めてください。そういう時はっ」
木陰にセッティングされたテーブルと椅子で昼食をとるメンツの脇で、恥ずかしかった、と零す。
「しかしその2年。
言い返さなかったんなら、図星だったんじゃねぇか?
負け惜しみだったんだろうよ」
ハッ、と鼻で笑ってお重の弁当を食べている跡部。
「準レでも無かったからなぁ。
1人は、午前中の試合で宍戸に負けとったし」
侑士の言葉に、俺が勝った2年、と考えた宍戸は、あの人かぁ、と思い当たるらしい。
「あー、タイミング悪かったな。
振られたらしいぜ。花開院 魅愛に」
「そら、ご愁傷相様やな」
「八つ当たりだったんじゃねぇの?
マコトさん、とばっちりだな」
哀れみの目を向ける宍戸に、そうやとしてもっ!と蓋を閉めた麦茶のボトルを氷が詰まったクーラーボックスに突っ込む。
「あまりに失礼やと思わへんっ!?
みんな、練習や努力や研究で勝ち取ってきたんに、まるで女ん子たちにモテるから認められてるみたいにっ
そういう捻くれた考え方やから、後輩にも負けるんやっ
そんで、何の関係もない女ん子からの人気、引き合いに出してきて、かっこ悪いわっ
そんなやっかみ引っかみする暇があるんやったら、亮君みたいにトレーニングしぃやっ!」
「マコトー、さっきから関西弁なってんでぇ」
「しゃあないやんっ腹立つんやもんっ」
一人怒っている真珠に、ごちそうさまでした、と空にした弁当箱に手を合わせる侑士。
「マコトさん、忍足とまだそんなに長くねぇのに、関西弁うつりまくってるじゃん」
ハンドグリップを使いながら、おかしそうに言う宍戸。
「マコト、オトンの実家、京都やねん」
「へー、京都っぽくないな」
「本人、東京生まれ東京育ちやからな」
あの人、嫌いっ!と珍しくはっきりと嫌悪を見せる真珠。
「うっ」
「ああ、ほれ。あんま感情的なると涙出るで?」
「だってっ!」
おいで、と弁当を片付けた侑士は、手を引かれ、うえーん、とその胸に顔を埋める真珠の涙目の眦を、気にしてへんから、と、指先で拭った。
