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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第42章 To play


更衣室でウェアを着替えた侑士は、なかなか来ない真珠に、迷っとるんやか、とコート方面に戻っていた。

「やめてほしいんすよね。俺ら、女の子にモテるためにテニスしてるわけじゃないんで」

ふと聞こえた声に、なんや、とそちらに向かう。

「...忍足もか」
突然出てきた自分の名前に、角からひっそりと覗く。
「テニスの実力は認めるけど、女子ばっか集めてウザいんすよ」

そこにいたのは、2年の男子テニス部員。

「更衣室って。盗撮でもするんすか?」
「とっ、盗撮っ!?」
(っマコト?)
その彼と対峙している姿に驚く。

「そんなっ違いますっ」
「更衣室まで来るとか、ストーカー?気持ち悪っ」

違う、と首を横に振る真珠に、駆け寄った。

「っ忍足っ」
怪訝そうな顔の先輩から、真珠を隠すように立つ。

「俺や跡部が気に入らへんなら、直接言うてください。
 女ん子たちにも、目に余る時は注意しとるでしょう。
 観客の声くらいで集中できひんのは、先輩のメンタルの問題ちゃいますか?
 そんなんやから、レギュラーどころか、校内選抜すら予選落ちなんですわ」

明からに見下した言い方の侑士に、テメッと顔を真っ赤にした上級生。
彼が口を開くより早く、ゆう!と真珠の強い声が上がった。

「どんなに火を見るよりも明らかな事実だとしても、言っていいことと悪いことがありますっ」

それにっ、と侑士に詰め寄る。

「『直接言え』やなんて、できへんのわこてて言うなんて意地悪すぎるっ!
 言えへんからこうやって私に言うてるんじゃないんですか?」
ゆうが怒るところなんか無いでしょう、と見上げる。

「マコト?」
「先輩方がレギュラーになれへんことやって、どのくらい経歴と実力ある方かは私は知らへんけども、性格のせいやないはずでしょうっ
 頑張っても、努力しても、限られた人しか行けへん世界やて理解してるつもりです。
 やからこそっどないに頑張っても届かへん人たちがおるっ
 自分の事を『気に入らへん』言う相手やからと、あなたが戦いの場所を下げてしもたら、それこそ彼らに失礼やわっ」

謝りんさいっ!と言った真珠。

「あー...誰に?」
「やからって、えっ!?」

いないっ!?と振り返った真珠。

真珠が侑士に詰め寄ってきた頃には、上級生は、そそくさとその場を投げ出していた。

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