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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第42章 To play



-各コート、現在の試合が終わり次第昼食とします。
全コートの試合終了から、1時間半後より再開とします。
集合時間を追って連絡しますので、遅れないよう集合してください。繰り返します。-

運営役のアナウンスに、一回戦勝利後、試合のラインアンパイアをしていた侑士に、プレーヤーの芥川が声を上げた。

「えーっ!?今のダメェ!?」
「球、半分アウトやで」
「ちぇーっ!」

スコアボードを見ると、あと一つで芥川の勝利が決まる場面。
決まった、と思った玉が入ってないとなれば、確かに悔しい、と試合を見守る。

次のラリーで芥川が放った球はイン判断され、芥川の勝利が確定した。

相手とのあいさつを交わした芥川を相手側のコートに誘った侑士は、ベースラインにしゃがみ込んで指差す。
悔しそうな顔の芥川に、立ち上がって二、三言話すと、彼の肩に手をかけてコートを離れた。

(ちゃんと納得させてあげるんだ)

強烈な球だったので、しっかりと跡が残っていたのだろう。
その球を、あの一瞬で判断した侑士の動体視力と決断力に脱帽する。


バッグの中で振動した携帯を確認すると、-更衣室西側に来てや-と侑士からのメッセージ。
更衣室、とテニスコートを出て辺りを見渡す。
どこだろ、とわからないでいると、あの、と声を掛けられた。

「なんか、探してるんすか?」
声をかけてきたのは、テニスウエアの男子生徒。
「あ、えっと、更衣室ってどちらですかね?」
「あー、テニス部の更衣室は向こうっす」
あっち、と指差す彼に、ありがとうございます、と会釈する。

「OGさんっすか?」
「いえ」
首を振ると、じゃあ、と目を細める。

「男、漁りに来たとか?」
「はい?」
「多いんすよねぇ、最近。
 レギュラーとかレギュラー候補狙いの女の子」

急に、どこか見下すような態度になった彼に困惑する。

「制服じゃないんで、在学生じゃないですよね?
 在学生も、やめてほしいんすよね。俺ら、女の子にモテるためにテニスしてるわけじゃないんで、困るんすよ。野次馬とか。
 跡部とか?宍戸とか?あー、あと滝と...忍足もか。
 テニスの実力は認めるけど、女子ばっか集めてウザいんすよ」

はあ、と心底嫌そうな顔に返す言葉が見つからずにいた真珠。

「更衣室って。盗撮でもするんすか?」
「とっ、盗撮っ!?」

まさかっ!と即座に否定した。
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