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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第42章 To play



 ✜

「相変わらずの威圧感...」

氷帝学園と書かれた真鍮の銘板が埋め込まれた門壁。

高い正門の上には、校章が輝いている。

(専門の磨く人とかいそう)

キラキラとした門の下の端を潜り、野外テニスコートに向かう。

家を出る時、侑士に送ったメッセージに返事は無く、試合中かな?とドキドキしながら校内を進む。
ギャラリー席が整備されているテニスコート。
高等部や中等部の制服を着た生徒たちで幾らか埋まっている。

「跡部様の試合、始まるって!」

階段を駆け下り、2つ前の席に座った中等部の制服の2人組みのキャッキャとした声に、以前、侑士が「跡部は人気もんやから」と話していたのを思い出した。

青春だなぁ、と制服姿と私服姿が半々のギャラリー席を見渡す。

コート設営をしている生徒達に、ゆうはどこだろう?と考えていると、歓声が沸いた。

「跡部様ー!頑張ってくださいっ」
「宍戸先輩っファイトでーす!」

コートに現れた姿。
まさに、黄色い声、というのに相応しい声援が上がる。
試合前だからか、慣れか。
その声に特に対応すること無く、テニスコートに入る集団。
まるでアイドルの入り待ち、と眺めていると、ラケットを手にしてコートの脇に立った侑士が顔を上げた。

(あ、)

目、合った、と小さく手を振ると、少し笑って手を振り返した侑士に、気付いた向日も手を振る。
観客席とコートを仕切る塀越しに、ジャージを首元まで締めている姿を見上げる。

「マコトちゃん、侑士のガチ試合見るの、初めてじゃね?」

うん、と、近くで柔軟を始めた向日に頷く。

「怪我、されませんよう」
「気ぃつけるわ。
 第1試合、コート3番な」

あっち、と指さされた奥を見て、わかった、と頷く。

「このあとすぐ、6番でガクトの試合の主審すんねん」
「高い椅子に座る人?」
「せや。4ゲーム3セットマッチのタイブレーク式な」
「どちらかが、4回決めたらポイント獲得で...コートチェンジ?
 3回やって、連続して2つ取ったほうが勝ち。
 1-1で並んだら、延長戦して、先に2点差以上で7点取ったほうが勝ち?」
あってる?と見上げる真珠に、あっとる、と頷く。

選手の呼び出しに、行かな、と言った侑士。

「行ってくるわ」

いってらっしゃい、と見送る声に、侑士は手を挙げてコートへ向かった。
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