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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第42章 To play



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体育が終わり、教室で着替え終わると、滝が声を掛けてきた。

「髪、解けかけてるよ」
結び目に触れると、確かに緩い。
「やってあげようか?」
貸して、と言われ、ヘアゴム1つを渡す。

「なんで髪、伸ばしてるの?」
「マコトが結うてくれるから...」
「ああ、例の年上彼女さんね」

僕も会ってみたいなぁ、と彼の手持ちの櫛を取り出す。

「瀧君、なにしてるの?」
「んー?忍足の髪で遊んでる」
「遊ばんといて」

三つ編み?と自席に座る侑士の背後に立つ滝の手元を覗くクラスメイトの女子学生。

「えー!器用っ」
「妹いるからね。たまにやってあげるんだ」
「そんなかわいらしせんといてや」
「似合うよ、きっと」

できた、と言われ、どんなんなっとん?と髪に触れようとすると、クラスメイトが手鏡を貸してくれた。

「器用やな。おおきにね」
「どういたしまして」

うまいもんやな、と携帯の反射で確認していると、後ろから、うわっと聞こえて振り返ると、向日がいた。

「だれか女子座ってんのかと思ったぞ」
滝がやってん、と椅子の背もたれに腕をかける。

「侑子ちゃんじゃん」
「違和感無いな、侑子ちゃん。
 ほんなら、昔の宍戸は亮子ちゃんかいな」
「テニスより柔道強そうじゃね?」
「ほんまや」

侑士の結われた髪を持つと、ポーニーテール〜♪と揺らす向日。

「ゆーらさーれてるー♪」
「ゆーしのそのノリのよさとテンションの低さのアンバランスは変わんねぇのな」
「アンバランスちゃうわ。絶妙なバランス取ってんねん。
 ちょっガクトっ!もうやめや。また解ける」
やめて、と背後の向日を手で追い払う。

カシャ、という音に振り向くと、向日の手には携帯。

「見ろよっここだけ見たらめっちゃ女子っ」
侑士の後頭部だけを拡大させた画面。

「いや、さすがに女ん子は無理あるやろ」
「なんだろなぁ、宍戸の時は女子みたいとか思わなかったのに...髪質?」
「それ言うたら宍戸の方が女ん子みたいな髪、しとったやん」
ポーズ、とカメラを向ける向日の携帯にピースする。

ポケットで震えた携帯を取り出す。

「俺の写真、俺に送ってどうするん」
「マコトちゃんに送れば?」

予鈴に、自席に帰る滝と向日。

まだ教師が来る様子が無いので、送られてきた写真を真珠あてに送ってみた。

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