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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第42章 To play



いつも通りの通学のバスに揺られる。

車窓から見えた、乗車待ちの列で頭1つ分背の高い影に、頬が緩む。

乗り込み、定期入れを持った手を、軽く振ってこちらに進む侑士を視線で追う。

「おはようさん」
「おはよ。え?制服は?」

隣に立つ姿は、いつものワイシャツでは無く、白のポロシャツで驚く。

「今日から夏服移行期間やから。
 天気予報で最高気温28℃以上やったら、ポロシャツOKやねん」
「えー、制服とは」
「『制服』言わへんもんね。
 『基準服』呼ぶし、女ん子は結構、自由にしとるよ」
リボン変えたりそれっぽいスカートやったり、とつり革に掴まる侑士。

「そう言えば、ストア?で制服借りれるとか言ってたね」
「基準服やったん忘れとったとか言う時とかな。
 運動部はたいがい部室のロッカーに一式置いとったりするけど」
「なるほど!」

見慣れない姿に、つい、じっと見入る。

「見つめんといて」
そっと真珠に頬を寄せた侑士。
「ちゅー、したなるやん」
「んっ」
耳元を擽る低い声に、ヤダ、と見上げる。

「わざとしたでしょっ」
「なんのことやろ?」
目を細める笑顔の頬を、むにー、と掴む。


「せや、ちとおねだりしてええ?」
「なに?」

あまり肉の無い頬を撫でていた手を掴まれ、指を絡めて繋がれる。

「今週の土曜、バイト無い言うてたよな?」
「うん」
「週末、また校内試合あるんやけど、オカンが昼作られへん言うねん」
「ほう」
「土日はカフェテリア開いてへんし...」
繋ぐ手をやわやわと握っている侑士。

「お弁当?」
コク、と頷く姿に、(かわいい)と口には出さない。

「そんなしっかりしたの、作れないよ?」
「握り飯だけでもええから」
「何時くらいまでに?」
「校内入れるさかい、昼...12時半くらいまでに」
「んー、わかった。
 試合の観戦、できる?」
「できるで。
 屋内コートやから、空調効いとるし、快適やで」

了解です、と携帯のスケジュールにメモを取る。

「ゆう、何時くらいから試合?」
「9時開始やから、シングルスが10時過ぎ、ダブルスが昼前ちゃうかな。
 勝ち上がったら、午後も続くな」
「控えてほしい食材とか、試合の時はやめてほしいものは?」
「とくに無いで。任せる」

楽しみや、と嬉しそうな顔に、一番悩む答えだ、と困り笑顔で応えた。

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