She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第40章 デートの日2
「え?弟やて知らんかったん?」
「男きょうだいがいるっていうのは知ってたよ」
「写真、見たんやろ?」
「『この人』って、教えてくれなかったの」
なんやそれ、と首を傾げる
「だから、玄関で制服のゆうと鉢合わせた時、むっちゃびっくりして...」
「ああ、それで挙動不審やったんか」
「えっ!?そんなに不審者だったっ!?」
「めっちゃキョドっとったやん」
「だってっゆうがっ怖い顔で見てくるから...」
そら堪忍、とカフェ・ラテを飲む侑士の笑顔は優しい。
「それにっあの後、恵里奈にすっごくからかわれて、恥ずかしかったんだからっ!」
「俺のせいかっ!?
黙っとった姉ちゃんのせいやろ」
「『写真の彼、学生服だったけどっ!?』って慌てて恵里奈の部屋に駆け込んだら、『あ、会ってしもた?弟なんよぉ』ってケロッと言うんだもん!
『弟もいたのっ!?』って、もう、恥ずかしいのなんの...」
「ん?弟『も』てなんやの?」
なんでもないよっ!と振られる真珠の手を掴む。
「人ってな、なんやある時に『なんもない』言うねん」
「うぐっ
...ええっと、ハイ。
写真で見た、だけ、だったので...年上だと思ってましたっ」
「そうやったん?」
「だって!スーツだったしっ!」
「スーツ...?タキシードやろ」
演奏会ん時んやろ?と掴んだ手を握る。
「あんな格好見てたら、年上だと思うよっ
家であった時、ゆうは学生服だったから『あれ?お兄さんも弟さんもいる?』って混乱してっ」
「おらん兄ちゃん、捏造されとるやん」
おもろい、と笑う侑士。
「しかも、恵里奈、写真のゆうを年上だと思ってたって知って『写真はお兄ちゃんやで』とか言うから、どっちがいてどっちがいないのか訳わかんなくなるしっ」
「からかわれてるやん」
からかいたくなる気持ちはわからんでもない、と、真珠を見た。
「せやけど、その写真、ホンマに俺と姉ちゃんやった?」
「え?」
「アイスブルーのドレスなんや、姉ちゃん、着とったかな?
その写真、俺ちゃう男かもしれへんで?」
ええっ、と侑士を見上げた真珠は、ん、と少し顎をあげた。
「誂ってるでしょ」
「あかん、バレたか」
「目、細めるからわかる」
「そうなんや。気ぃつけとこ」
あっ言わなきゃよかった、と後悔している真珠に、(たまにアホやなぁ)と含み笑った。
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