She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第41章 デートの日3
「明日、部活ある?」
「基本、日曜は休みや。
水曜と日曜が休み、第一、第三の土曜はだいたい校内試合。
第二、第四は休みやったり、トレーニングに当てたり、まちまちやね」
高等部になってから校内試合が増えてん、と、街灯が点き出した外を歩く。
「水、日休みね」
覚えとこう、と頷く真珠。
「ゆう、門限22時?」
「別に何時までに帰れ、言われてへんけど」
「あれ?門限無いの?
恵里奈、高校まで22時って言ってたけど...」
姉に門限があったことを今、知った。
「なんも言われへん。
あんまり遅なる時は、先言うとくか連絡くらい入れるけど」
「男の子だからかな?
でも、そっか。部活もあるしね」
「遅なってもなんも言われへんよ」
「でも、未成年だからね。
あんまり遅くならないうちには帰らないと」
未成年、と言われ、こみ上げたモノを無理やり飲み下した。
「ゆう?」
どうしたの?と見上げる真珠が、自分を馬鹿にしたとか舐めているとかの発言でないことは分かっている。
むしろ、迷惑をかけないように、足枷にならないように、と考慮しているからこそだと。
(どうにもならへんて、わかりきってることやん)
繋いだ手をきつく握る。
(年下やと気にしてるんは、俺の方や)
ずっと、見ないふりをしていた、もどかしさややるせなさが襲う。
(口にしたらあかん)
きつく、奥歯を噛み締めた。
(マコトが困るだけや)
消えろ、と強く感情を打ち消そうとした。
する、と頬を撫でる柔らかな体温にハッとする。
「今、消してしまおうとしたのは、どんな気持ち?」
ドキ、と胸が強く脈動した。
「ゆうが、嫌なこと、言っちゃったんだね」
「なして、わかったん?」
わかるよ、と真珠は眉尻を下げて笑う。
「好きな人が傷ついた時くらい、わかるよ。
門限のこと話したから、早く帰らせたいと思ってるって思った?」
そうじゃないよ、と首を横に振る。
「わかっとる。
門限あるんやったら、それまでに帰らなって、気ぃ回してくれたんやろ?
『はよ帰れ』言われたなんか、思うてへん」
「なら、どうして...?」
心配そうな真珠の瞳から逃れるように、彼女の狭い肩に額を当てた。
「はよ、大人なりたい」
「大人かぁ」
ジャスミンの香りの首筋に擦り寄って、いつも以上に素直に甘えついた。
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