She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第5章 始まりの朝
昼休み。
ザアザアと降り出した雨。
午後連、どうなるんやろ、と小説を片手に、今朝のやり取りで終わっている真珠に-今ええ?-とメッセージを飛ばす。
「忍足」
途中、呼び止められ、振り向くと跡部が樺地を連れていた。
「今日の部活は休みだ。
今から、顔、貸せ」
「わかったわ。
ちょお待っとって。すぐ行くわ」
カフェテリアに来い、という跡部に、わかったわ、と返事して携帯を見ると、真珠から返事があった。
-はーい-
-今日、自主練になってん。
放課後、会えへん?-
カフェテリアに入ると、最奥の席の手前にいた日吉が、忍足さん、と呼んだ。
「こっちです」
空いていた跡部の隣に席を取る。
日吉の隣には鳳もいた。
「なんや、二人とも、えらい久しい気がしてならんわ」
「校舎が変わると、なかなか顔合わせないもんですね」
変わらない制服の2人と、まだ新しさが目立つ高等部組。
数ヶ月前と変わらない昼食時間だった。
中等部での部活の運営について、跡部に相談する日吉。
頑張っとるなぁ、と済ませた食事に、文庫の代わりに携帯を開く。
-いいよ。傘、ある?-
雨が降ったからか、と降り続いている雨を窓から見る。
-あるで
折りたたみの小さいやつやけど-
よかった、と胸を撫でおろすシマエナガ。
彼女は持っているだろうか。
今朝見かけた感じでは、傘は持っていなかった。
-そっちは?あるん?-
-売店で買うつもり-
持っていないらしい。
(どないしようかな、)
迎えに行ったら困るだろうか、と返事に悩んでいると、ゆーし!と目の前で机を叩く手。
「予鈴鳴ったぞ?」
先行くからな、と言う向日。
後で真珠の予定を聞いてみよう、と遅れてカフェテリアを出て教室に戻る。
教室に戻ると、生徒がほとんどいない。
後方の黒板の時間割を見て、移動教室であることに気づく。
ガクトのやつ、同じクラスなんやから教えてくれてもええやろ、と、筆箱やノートを手に急ぎ足で情報処理室へと向かった。
2クラス合同で行われる授業。
予鈴とともに滑り込むと、自由席の中で空いているのは、跡部の隣だった。
5分前行動が基本の侑士に、珍しいじゃねぇの、と優雅に脚を組む。
ちょっとな、と返し、本鈴とともに入室した教員。
「きりーつ」
向日の声に(日直やったんか)と立ち上がった。
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