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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第40章 デートの日2



(そりゃねぇ)

偏差値の高い氷帝学園で、背も高く、人当たりも悪くはない。

その中でも、医学部を目指す頭脳があり、まさに文武両道。

自分の速度に合わせ、かつ、さりげなく通路側を歩く気配りができる。

「見たい店あったら言うてや」
優しい笑顔に、うん、と返事をして、少し、腕に絡みつく。

(高校出てから...ゆうと出会ってから、いいことしか無いなぁ)

いつかどこかでこの幸せが途切れるのだろうか、と思うと、胸が切なくなって、侑士の腕に額を擦り付ける。

「どうしたん?」
「ゆうにマーキングしてる」
「犬ちゃうんやから」

苦笑する侑士に、スリスリと擦り付けていた額をコツコツをぶつける。

「マーキングの仕方は、犬いうより、猫やな」

甘えん坊なん?と覗き込む侑士の腰に抱きつく。

「どうしたん?」
ギュッ、と腕に力を込める。

「そないにくっつかんといて」
やんわりと肩を押され、無言で更に腕に力を込める。

「どないしたんや」
「もう一回、高校行きなおすとかできるのかなぁ。
 でも、氷帝学園に入る頭脳は無いもんなぁ」
「高校、恋しなったん?」
「氷帝学園高等部に入学したいですっ」

ガバッ!と顔を上げた真珠に驚いた侑士。

「JKの青春を取り戻すのですっ」
「なんやそれ」

だってね!と続ける。

「ゆうに『ノート見して』って言いたかった!
 飛んできたテニスボールを『部活、頑張ってね』って渡したかったっ!
 陰から向けたバズーカカメラで撮った写真を、内緒で生徒手帳に挟んどく。
 そんな青春、したかったんやぁ!」
「いや、無いで?そんなベタなん。
 あと、バズーカカメラて」

言うたん俺やけど、と笑う侑士。

「捨てられてもええから、ドキドキしながらお手紙渡したかってん...」
「手紙は今でも書けるやろ」
「そうやないねんっ!
 受け取ってもらえるかな?読んでもらえるかな?ってドキドキしながらロッカーか下駄箱に置きたいんやぁっ」
「中途半端に関西弁やな」

おかしそうに笑う侑士は、そうやねぇ、と穏やかな笑顔を見せた。

「俺は、マコトが泉深の学生でよかった思てるよ」
「どないして?」
「共学行っとったら、俺と会うた時にはもう彼氏、おったかもしれんやろ」
「いやぁ、どうやろぉ?」

確率は低いなぁ、と苦笑いしながら、ようやく侑士の腰から腕を解いた。

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