She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第40章 デートの日2
落書きコーナーで、アップで撮った二人の頬にそれぞれのイニシャルのスタンプを付けたり、全身を撮った写真をテニスボールやラケットでデコレーションする真珠。
隣でそれを見ていた侑士は、徐ろにペンを取った。
落書き終了っ!の声にペンを置いた真珠は、侑士が落書きをした1枚を見る。
「意外」
侑士の腰に抱きついて見上げる真珠にYou love me?、自身にI'm crazy about you.の吹き出しを書き込んだ侑士に、微笑みかける。
印刷中、と表示された画面に、落書きコーナーを出ようとした真珠を背中から抱き止める。
「You love me?」
耳元にしっかり聞こえた低い声に、んーっと、と考える真珠。
「I'm...クレージー、アバウチュー?」
フイッ、と顔を逸らした侑士の耳が赤い。
「意味、わかって言っとるん?」
「『好き?』『大好きだよ』みたいな意味じゃないの?」
「遠からずやな」
まあええわ、と落書きコーナーの椅子から降り、排出口の前にしゃがみ込んで写真を待った。
手帳に挟んでおこう、と半分を侑士に渡し、自身の分をバッグにしまい込んで店を出ようと歩き出そうとした時だった。
「忍足先輩っ」
騒音の中でも、はっきりとした声に呼び止められた侑士の陰から声を方を見る。
私服の二人組の女の子は、侑士を「先輩」と呼んだので、氷帝学園の中等部の生徒だろう、と繋ぐ手を解こうとした。
「お久しぶりですっ」
「ご無沙汰しております!」
嬉しそうに話しかける2人を知っているらしい侑士は、離れかけた手を強く握り、なんしてん?と親しげに返した。
「「遊んでましたっ!」」
そらそうやろねぇ、と苦笑いの侑士に、一人がソワソワした様子で話しかける。
「あのっ、最近、お写真の方がっ」
「?ああ、忘れとったわ」
忘れないでくださいっ!と二人はゲーム機の騒音に負けない声を張る。
「ゆし先輩だけが頼りなんですっ」
「1枚でいいんでっ!お願いしますっ」
わこぅたわこぅた、と答えた侑士。
「後で最近の送るわ」
またね、と二人に笑顔で手を振る。
「忘れないでくださいねっ!」
「お願いしますっ!」
はいはーい、と軽く返事をした侑士。
「「おデート、楽しんでくださーい!」」
手を振る彼女らに会釈をしてゲームセンターを出た。
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