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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第40章 デートの日2


食事を済ませたあと、近くの商業施設の中の文具店で切らしていた愛用のボールペンの替え芯を買う。

書店に寄ると、侑士は新書を一冊、買った。

家族がいないカフェ店員と、駆け出しの建築家の恋人たちは同棲中。バイク事故で瀕死に陥った2人が目を覚ました時に出会ったものの正体と2人の運命が紡がれたストーリーだった。

「読むの早いよね」
「そうか?」
「だって、このくらいなら数時間で読んじゃうでしょう?」
「そうやね」

早いと思う、と薄くはない文庫に真珠は言う。

「ゆうって、漫画も読む?」
「買わんけど、少年誌んはジローかガクト、少女漫画は、姉ちゃんから拝借する。
 けど、めったに読まんなぁ」

漫画読むん苦手やねん、と言う侑士。

「目が疲れる。
 視線忙しいし、キャラの表情やの背景やの効果線やの、騒がしい」

なるほど、と歩いていると、ドラッグストアがあったので立ち寄る。
夏に向け、商品棚にズラッと並ぶ日焼け止め商品たち。

「いつも使ってるのは?」
「特に決めてへん。
 そん時、コレでええか、ってやつ選んどる」
「タイプは、ミルク?クリーム?」

こんなやつ、と侑士が指差したボトルはクリームタイプ。

「マコト持っとったやつ、どれ?」
えっとね、と同一ブランドのミルクタイプとスプレータイプを探す。

「スプレータイプ、背中とか髪にも使えるから便利。
 けど塗るタイプより気持ち劣るかも」
「灼きたない言うよりは、陽射しが痛いの避けたいだけやからそれでええ」

おんなしのにしよ、と棚から取る。

レジの近くに置かれていた、真珠が持つ冷感スプレーも購入した。

「跡部の背中に黙ってかけたろ」
「どんなイタズラ?」
「寝とるジローでもええか」
「心地よくて、逆に寝付きよくなるんじゃない?」
「あいつに『寝付き』言うもんは無いっ
 常に寝付いとるようなもんや」

いたずら成功するといいね、と笑いながら店を出る。
次の行き先について聞くために振り返ると、すぐそばに侑士の顔があった。

瞬く隙もなく唇を掠めた低い体温に、ようやく驚く。

「っ外っ!」
「誰も見てへんよ」

もー!と怒る真珠をちら、と横目に見下ろす。

「嫌やった?」
「っいけずっ!」
「マコトが関西弁使うん、かわええなぁ」

もっと言ってや、と笑う侑士に、やだっ!と舌を出してみせた。

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